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39歳の経営者、高等学校英語教員になる【新任の1ヶ月を振り返る】

2023-05-04

Hi guys. 元出版社経営者、英語スクール代表で、アロフォー(39歳)にして高等学校教員になったOkadaです。

詳しい私のプロフィールはこちらをご参照ください。

新任教員としての1ヶ月が終了しました。振り返ると、4月の休みがわずか3日しかなかった(=これがよく報道されている教員の問題なんでしょうね)のですが、経営者時代は祝日など関係なく労働していたし、休日でも仕事のことを考えている状況があったので、むしろ気分的には楽になりました。

私と同じように社会人からの教員を目指される方、今新任教員の方、教育に興味がある方向けに私の1ヶ月での気持ちをシェアしていきたいと思います。

OKADA

私のバックグラウンドから

この3月まで出版社と英語スクールを運営する合同会社の経営者をしていました。

学生時代は英語教授法、American Poetryを専攻。前者ではTESOL/TEFLの上級コースを修了しています(現在の英語レベルはプロフィールをご覧ください)。英会話や資格試験、大学受験の英語に強かったこと、そして、将来的に教員になった時(元々社会経験を積んで30代で教員になろうという青写真を持っていました)に、生徒にキャリア教育をしていく上で学校のことしか知らないのでは何の指導もできない、と考え、民間での英語指導に従事。キャリア教育では誰にも負けないスキルを持ちたいと思い、起業意欲も出てきて、出版社と英語スクールを立ち上げました。

2022年7月頃に、安倍政権時代に作られた教員免許更新制度が廃止されたとともに、旧免許証を保持していた私の教員免許は更新をせずとも復活をしました(というか、教員免許をとったときには、一生モノになる、と説明を受けていたので、更新制度は後出しジャンケンのような感じでした)。2021年頃にそうなるかも、という報道がされてから、2023年4月からの勤務を目指して、教員採用試験の勉強を開始しました。経営もしながら、でしたので、対策は本当に大変でしたが、私学適性検査では、専門科目だけじゃなく、教養科目もA判定となり、合計10校の私立高校からのオファーもいただくことができました。

教員の仕事

校務分掌

私は校務分掌として5つを担当しています。大きなものが3つ、小さなものが2つです。

授業の合間にこれらの業務をこなしていくことになります。担当教科の授業準備が素早くこなせる方であれば、定時までにはその業務は処理できます(新任のため任せられる分量も多くないので)。私は新任ですが、高校英語の教科書は私にとっては非常に簡単で、さらに、ワークシートやチャンクリーディングのシートは業者さんからWord/Excelデータでいただいているので、それらを組み合わせていくことでハンドアウト作成の時短もできています。だからこそ校務分掌への余裕が生まれていると分析しています。

学級経営

新任のため、メインの担任ははずしていただきました。もし主担当となっていたら、校務分掌を回していくのはかなり厳しいだろうなと実感しています。

担当教科(英語)の授業①:できていること

ここはこれまでしてきた英語スクールでのレッスン、さらに、私は河合塾などの大学受験予備校や大学での講師を長年やってきたキャリアがあるので、余裕があります。

新卒で初めて授業をする方と比較すると、ここは私の大きなアドバンテージになっています。

上述したように、高校英語の教科書は非常に易しく、編集可能なデータもあるため、準備に時間がかかりません。ロイロやClassroomでハンドアウトの共有もできるため、配布のために印刷に時間を食うということもありません(紙を好む生徒用に印刷はしてはいるので、正直なところ労力はかかります)。

担当教科(英語)の授業②:できていないこと

TESOL/TEFLの技術を元に、様々な授業テクニックをストックとして持っていますが、大学進学を想定していないクラスでは、今のところそういった技術は効果が発揮できていないことの方が多いです。英語のみでレッスン提供するのも現時点では通用していません。

これまでのキャリアの中では、受講意思がある方たち向けにしかレッスンを提供してこなかったですが、そこでは概ねモチベーションがある方が多かったです。現在の対象者は必ずしもそうではないですし、部活などで疲れ切った状態でレッスンを受けているから起きているのが精一杯という生徒も多いです。

そこをどう引っ張っていくか、がおそらく教員の主な役割であり、腕の見せ所ですが、私にはその点の経験値がないため、聞いてもらうための見せ方に苦労しています。

今はそこをどう改善していくかを模索しているところです。そのゴールが実現できた先に、私の強み(英語力や教授法のバリエーション)を発揮できる場所があると信じています。

部活

運動系のクラブの顧問になりました。部活としての経験はないスポーツ(趣味歴は普通にある)なので、今のところ、指導はメインの方が担ってくださっています。

また、私は両足の半月板損傷をしており現在治療中のため、部活への参加も少し控えさせてもらっています。同じように日中の仕事をこなした後に指導してくださっているので、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

土日は試合があることが多く引率をするため、4月は休日が3日間のみでした。

外部委託という世間の流れと逆行し、部活の指導を教育の不可欠な一貫と捉えている学校のため、この状況は今後も変わらないだろうと感じています。

部活は、ワークライフバランスを考えた場合に賛否両論ある問題ですが、一つ言えることは、教室と違った生徒の顔を見ることができるのが最大の強み、だということです。教室では居眠りしていても、部活ではキラキラ輝いている生徒は本当に多く、目の前に見えている一面性だけで人を判断するのはなく、違った背景もちゃんと見た上で判断を下す、という対人関係の基本を思い出させてくれます。

補習授業

勤務校は、朝の課外授業と夕方の課外授業が健在しています。

この文化は九州で生活し始めて知ったもので最初本当に驚きました。0限ってなんだ?!という感じでした。

私は毎朝担当があるため、勤務時間開始の1時間前に始動し始めます。かなりの朝型のため全く苦にはならないですが、部活も含めると、学校の滞在時間はちょうど12時間になることもあります。

究極のMorning Personのワタシからすると、「朝活」のようなポジティブな名前に変更して、実用的なレッスンの提供は今後もありかな、と思っています。一人の親としての目線で見ると、お弁当の準備など本当に家庭の負担が大きいのですが。

学校のICT事情:諸刃の剣

ICTの状況は各学校で違うと思いますが、現在の勤務校のICT状況はおそらく標準的かこれから発展させる段階にある状況です。

出欠はアプリでとれ楽です。教材はロイロかClassroomで共有できます。提出物や簡単なテストもデータでのやり取りや実施で完結するので、印刷や回収の手間は大幅に省けています。

提出物は主にロイロで管理していますが、これは諸刃の剣です。提出期限や宿題の内容ををうまく管理しないと、提出物のチェック地獄に陥ります。土日や深夜にも提出できるようにしてしまうのは危険です。また、提出を簡単に求められるので、意識しなければ宿題が多くなってしまいます。生徒からするとそれはディスアドバンテージですし、こちらからしても、処理する分量が多くなる。このあたりのバランスも今見定めているところです。

定期テストは自動採点にまだ対応していないので、定期テストの作問は、観点別評価への工夫だけじゃなく、記述よりも選択肢の量を増やすことで、後の採点に負担がかからないようにしているところです。

給与

給与面は、経営者時代にはもちろん劣ってしまいますが、各種手当が充実しています。住宅(持ち家)手当は雀の涙ですが、扶養手当など大きなプラスになるものもあります。

部活については1日遠征しても極小の手当のみですが、振替休日の権利を得ることができるため、結局は相殺できそうです。

ただし、働く量にしては給与がそれほどもらえない、という問題点は最近の報道通りだな、という印象です。

教員をしてよかったこと

最も良かったことは、生徒の成長を直に支援できていることです。

これまでも英語のレッスンを提供する仕事は長いことしてきましたが、あくまでも目的はスコアを上げること、資格試験で合格をさせること、大学受験に合格させること、という結果が全てという生活を送ってきました。

もちろん、成果を目で見える化するタスクは変わらないし、学校自体が私たちに求めるものも結果です。それが募集に直結しますから。けれど、ちょっとした生徒の成長度を間近で目にすることができるし、こちらのほんの少しの声掛けや態度が、生徒の変化につながることもあり、やりがいを見出しています。

学校独自の文化には驚かされます。これを一般社会でしたら通じないんじゃないか、というカルチャーショックはかなり感じています。この点は良いもの、改善したいものも両方ありますが、長い社会人経験、そして、経営者として直に社会の変化を目にしてきた私がこれをポジティブなものに変化させていく責任があると実感しているし、学校側にそれを期待していると考えているので、教員の人権保護も含めて、攻めの姿勢でいきたいと思っています。

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