一般的に日本でのTOEICはLR(Listening & Reading)のことを指します。TOEICの満点というと、LRで990のスコアだった、ということですね。
実はTOEICにはSW(Speaking & Writing)も毎月開催されています。LRと同様に、ビジネスでの実践目的でのあなたの英語を、話す、書くで測定するものです。
そんなSWについて初受験者の方や久しぶりの受験者の方を対象に出題内容・参考書・当日の流れについて簡単に解説していきます。
TOEIC SWを受験する利点
英語は、4スキル(4技能)のバランスが良ければ総合力がより高まると科学的にみられています。
また、LRはインプットスキルなのに対し、SWはアウトプットスキルです。学習全般として、インプットしたものはアウトプットして初めて定着し運用能力が上がる、という理論が有名ですよね。話す練習をすること、あるいは、書く練習は、読むや聞くのスキルの底上げにもつながるんです。
だから、LRを受験するなら、SWも定期的に受験することをオススメします。
とは言え、どんな問題が出題されるかなど分からないことが多いTOEIC SWの特徴を簡単にご紹介していきます。
今回SWのご紹介するのはFukuoka English Gym代表のOkadaです。
Speaking Testの出題の特徴
Question 1, 2 音読【準備45sec、解答45sec】
アナウンス、広告、ラジオ、留守電などの英文を音読するパート。
If you’re shopping, sightseeing and running around every minute, your vacation can seem like hard work. To avoid vacation stress, come to the Blue Valley Inn on beautiful Lake Meed. While staying at our inn, you’ll breathe clean country air as you view spectacular sights. With its spacious rooms, swimming pool, and many outdoor activities, the Inn is the perfect place for a vacation you won’t forget.
(https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html)
解き方
●準備時間25秒程度内容把握+20秒程度で全体の読み方(声に出して) ●準備段階で確認しておくもの: 1 固有名詞の読み方(読み方分からないものは自分なりにこういうってリハーサルをしておく) 2 and並列箇所:A, B, and C のイントネーションはAとBは上げ、and Cで下げる 3 fやlやrといった自分が苦手とする発音 ●読む時に意識すること: 1 シチュエーションに合わせてそれっぽく(アナウンスならアナウンサーっぽく) 2 イントネーションをしっかりと 重要な語(コンテンツワード)は長くはっきり、重要じゃない語(ファンクション/グラマーワード)は短くぼそっと
ばかでかい声量にすると注意のカードが提示されますが、私のこれまでの経験上声量は結構重要と考えています。スコアリングする側は大量の音声をさばきますから、その中でぼそぼそと発声するものは少しやる気が下がるという心理になるでしょう。気持ち大きな声でくらいでのぞみましょう。
【TOEIC公式の解答のコツ】
分かりやすい発音とリズムで読めるか、がポイントです。
意味のまとまりごとに、正しく区切って読む
意味上、重要な語を強く読む
重要な語とは、名詞、動詞、形容詞、副詞、疑問詞などです。
重要でない語(冠詞、前置詞、助動詞、接続詞、関係詞など)は弱く、短く読みます
文の終わりは、上げ調子と下げ調子を使い分ける
(https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html)
Question 3, 4 写真描写【各準備45sec、解答各30sec】
与えられた写真を説明するパート。全体像→個々の説明という流れが求められる。
解き方
●準備時間:45秒 ・まず場所がどこかを把握 → 空港、車両、人、山などが登場します ・次に写真を5つ程度に分割(左、右、奥、手前、真ん中)し、目立つ人や物に注目 →サンプルなら、手前からいるオレンジの洋服を着た男性→奥のバナナ→左の女性が何か持っている→..... ●解答の流れ: 30秒で、 全体の概観 ↓ 個々の説明(位置+人か物の特徴)☓ 3名以上 ↓ (時間が余れば写真から判断できる自分の意見 ) ●定型表現を覚えておく 参考書などを通じて定型表現は押さえた上で試験にのぞみましょう。
【全体像の言い方サンプル】 ・「 この写真は〜の写真です。/ これは〜で撮られた写真です。」 This is a picture of … / This is a picture taken in/at …. e.g. This picture was taken in an airport. *場所が曖昧または英語がとんでしまった場合は下記 「これは外/中で撮られた写真です。」 This a picture taken outside / inside.
●よく登場する場所表現
日本語 | 英語 |
---|---|
海辺 | beach |
バス停 | bus stop |
カフェ | cafe |
交差点 | crossing / intersection |
建設現場 | construction site |
工場 | factory |
スーパー | grocery store / supermarket |
廊下 | hall / hallway |
港 | harbor |
モール | mall |
会議室 | meeting room |
広場 | plaza |
桟橋/埠頭 | pier |
水辺 | waterfront |
・個々の言い方サンプル 「手前側には、/ 奥には / 左側には / 真ん中には / 右側には」 On the foreground, / On the background, / On the left side, / In the center[middle], / On the right, *中身となる描写はS is doingの進行形で表現するか、there is 〇〇「〇〇がある/いる」で表現するのを基本とするとよいでしょう。 e.g. On the left side, a woman is holding bananas. She is wearing a short-sleeved shirt, and she has short hair. *最初に、On the left side, there is a woman. としてもよいですね。
【TOEIC公式の解答のコツ】
適切な語彙・語句を使って写真の特徴を詳しく描写できるか、適切な構文を使って分かりやすく説明できるか、がポイントです。
【準備時間中】
・描写する順番を考える。順番は「概要→詳細」。
・描写に使える「主語+動詞」の組み合わせを3つ以上考える
【解答中】
・情景に合っていれば、難しい語句や表現を使う必要はない
・文法ばかりを気にせず、できるだけ多くのことを話す
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Question 5, 6, 7 応答問題【準備 なし、解答Q4, 5:15sec Q6 30sec】
シチュエーションが与えられ、身近なトピックについて3つの質問に答えるパート。インタビューに応える形式になっています。
Imagine that a Canadian marketing firm is doing research in your country. You have agreed to participate in a telephone interview about television viewing.
Q1 How often do you watch television?
Q2 What kinds of programs do you usually watch?
Q3 Describe your favorite television program.
(https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html)
*自分の答えやすい言い方で答えればOK
*Q4, 5は15sec使わなくてもよい 、Q6は30sec話し切るのが理想でしょう(公式のアドバイスには多く答える必要はないと記載されていますが)。
「好きな映画を説明してね」というのは定番です。この2年で受験した中で2回登場しました。ハイスコアを目指す方は、「ないけど...」とばかしたり「好きな本」にすり替えて逃げるのは避けたほうがよいでしょう。答え方は、Qのコピペをしながら答えると楽ができるようでしょう。SampleのQ1なら、"I watch television 〇〇"のように。Q2なら、"I usually wathch 〇〇"といった感じですね。
【TOEIC公式の解答のコツ】
適切な言葉で、すばやく正確に答えられるかが問われます。質問に対して多くを答える必要はなく、適切に答えることがポイントです。
・疑問詞(Who,Where,When,What,Whyなど)に注意して、適切に応答する
(https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html)
Question 8-10 提示された資料に基づいて質問に答える【準備45sec 解答15sec / 30 sec】
提示された資料に関して3つの質問に応える。3問目のみ連続で2回読み上げられます。
【質問文(画面上には表示されない)】
Q8 Could you tell me what time the conference starts and how long it will last?
Q9 How much does conference attendance cost?
Q10 I may not be available for the full day. Could you give me information about the activities in the morning, before lunchtime?
(https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html)
解き方
●準備時間に最上部、欄外の注意書き、訂正事項、最後にリストを確認しましょう ●Questions Q8 時間、場所の確認が多く、上部に記載が多い 【15sec】 Q9 欄外が多い【15 sec】 Q10 リスト部分を使うことが多い【2回読み、30sec】
【TOEIC公式の解答のコツ】
シーンに応じた適切な表現を使って、すばやく正確に答えることがポイントです。
(https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html)
Question 11 意見提示【準備45sec、解答60sec】
あるトピックについて、60秒で自分の意見と理由を述べるパート。
Some people prefer to take a job that does not pay well but does provide a lot of time off from work. What is your opinion about taking a job with a low salary that has a lot of vacation time? Give reasons for your opinion.
(https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html)
このパートはTOEICというより資格試験全般のSpeakingの定番ですから、特別TOEICに合わせてこうしろ!というものはないと思っています。
【TOEIC公式の解答のコツ】
テーマを正しく理解し、自分の意見や立場(賛成・反対)を明らかにし、その理由を例や説明を添えて、論理的に分かりやすく話すことがポイントです。
(https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html)
Writing Test
Question 1-5 ワンセンテンスでの写真描写【解答8 min】
写真描写のパート。各問に、 のような2語/句が指定されます。これら2つを使って1センテンスをつくるパート。語句の変形はOK、指定された語句の順番は自由。
“woman/suitcase” のように2語の利用が指定されるのが特徴です。
次のように答えることになります(ハイレベルとスコアリングされる例)
There are so many cars parked at the airport terminal.
Question 6-7 Eメールの返信【解答各10 min】
Eメールを読み、それに対する返信をライティングするパート。
Q6 問題点1つ、要望2つを返信
Q7 質問を2つ、情報提示を1つで返信
といったQuestionが定番になっています。
事前に、書き出しや末尾などのメールのテンプレートをおさえておいて、本番では中身に焦点を合わせられるようにしたいですね。
【TOEIC公式の解答のコツ】
返信先に対してふさわしい文体で、接続語を適切に使い、筋が通った文章を作成することがポイントです。
(https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html)
Question 8 300wordsのエッセイ【30 minutes】
与えられたトピックについて、自分の意見、その理由や例を30分でライティングするパート。「優れたエッセイにするには300語以上は必要です」という注意書きが含まれている。
こちらはTOEICだから、という問題ではないですね。大学受験から英検など資格試験と同様です。300 wordsくらいを目指すというのがかなり難しいポイントです。ブレインストーミング→アウトライン作成→ライティングスタート という流れにし、途中で軸がぶれないようにしたいですね。
【TOEIC公式の解答のコツ】
テーマを正しく理解し、自分の意見や立場(賛成・反対)を明らかにできるか、その理由を例や説明を添えて論理的に分かりやすく記述できるかがポイントです。
・多様な構文や語句を使って、300語以上書く。
(https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html)
公式WEBSITEで実際の受験者の音声サンプルがすごい
High-Level Answer, Mid-Level Answer, Low-Level Answerの解答サンプル
公式ウェブサイトでは、実際の(サンプル提供OKを試験時に選択した)受験者の受験時の音声やライティング解答を確認することができます。
https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format/sampletest/sw_challenge.html
どの程度でハイレベルになるのかなどの線引きがリアルに実感できます。またハイレベルの判定をされている方が、どう展開しているのか、どの程度の表現力なのか、さらには、どんな発声をしているのか、がわかり、モチベーションが本当に上がると思います。(手前味噌ですが、おそらく自分自身も周りの受験者に与えていると思いますが)実際の受験会場に行くと周りの声を本当によく聞こえるのですが、発音、イントネーションがよい方がいると、素直に「すごっ!」と感動します。こういう言い方をするとかっこいいんだなと新たな発見もあり、やる気に満ちあふれて帰ることもあります。
参考書
1 入門書の草分け「TOEICテストスピーキング/ライティング総合対策」(初心者向け)
初めてTOEIC SWを受験する方にオススメです。全ての出題意図が懇切丁寧に掲載されており、大変参考になります。
2 Speakingならこれしかない「TOEICスピーキングテスト究極のゼミ」(中級以上を目指したい方向け)
メモのとり方も含めて、あらゆる戦略が網羅されており、上級者の方の心も満たしてくれる1冊です。
私個人としてはこれを超えるスピーキング本はないのではないかなと思っています
受験当日の流れ
1 集合時間になったら入り口の係の方に氏名を確認してもらい待合室で待機
署名をする用紙と注意事項が記載された用紙、番号が渡されます。時間になるまで待機します。時間近くになると筆記用具やスマホなど荷物は全てロッカーにいれるよう案内されます。
2 時間になると順番に呼ばれ受付で写真撮影
来た順で番号が呼ばれ、受付のPC前で写真撮影をします。これがスコア表に記載される写真になります。
3 写真撮影が完了した人から入室し、試験開始
受付でもらっていたライティングの下書き用のメモ用紙と配布される鉛筆を持って入室。入った人から順次試験がスタートします。2番手以降になった場合は、ウォームアップで発声しているか、実際に試験が始まっている人もいます。ブースが詰めて使うため、結構派手に聞こえてきます。
ライティング用のメモ用紙を1枚もらいますが、これをSpeaking時にも積極的に利用しましょう。
4 試験
SW両方受ける場合は、Speaking→Writingの流れです。Writing中にSpeakingをしている受験生もいて集中できない場合は、ヘッドホンをそのまま装着しておくと集中しやすいです。
5 退室
終わったから順次終了。荷物をとって帰宅です。
受験当日の注意:順番・他の受験生の声
当日初受験の方はこういうシステムだったの?!となると思われることがあるのでシェアしておきます。
順番
上述した通り、来た順が試験順になります。早く会場に行って1番をとるか、遅く行って最後の方をとるか、これは性格や適性によって分かれると思いますが、いずれにせよ何らかの影響は受けるくらいの気持ちでいてください。
1番に行った場合の良い点は、周りの影響をもっとも受けないことでしょう。全ての問題が自分スタートですから、他の人がどう言っているかの影響を受けないです。
順番が途中の場合の欠点は、周りの声が最初から大合唱状態だっていうことです。利点は他の人が言っていることが聞こえてくる、ということでしょう。9月に受験した際に「好きな映画を説明しろ」という問がありました。私は事前に仕込んでいるものがあるのでそちらを言いました(試験の順番は2番目)。途中途中の合間でおそらく誰かが"Spiderman"を言ったのだと思うのですが、次から次へと"Spiderman"の説明が聞こえてきました。全く浮かばなかった方にとってはラッキーだったのではないでしょうか。
周りの声とレベル
こちらも上述したとおりで、周りの声は聞こえてくるので、事前にそういうものだと思っておいてください。集中できない原因になり得ますよ。そして周りのレベルに圧倒されないでください。「え〜みんなこんなにたくさん話せるの」「発音がよすぎ」など周りのレベルに驚くことがあるかもしれません。他は他、自分は自分と割り切ってください。むしろ、そう感じたら、「将来目指す理想像が見つかった」とポジティブにとらえましょう。
最後に
初めてSpeakingテストをCBT方式で受験した時は本当に驚きの連続でした。
こんなに周りの声が聞こえてきたら集中できないだけど。
これが最初の感想でした。しかし受験回数が増えるにつれて、周りからの学びが本当に多くて、毎回充実した気持ちで帰宅します。
SWはアウトプットにあたります。総合力をあげられます。そして「話す」はコミュニケーションの基盤です。ぜひ、LRだけじゃなくSWにも挑戦してみてください。世界がさらに広がるはずです。