Hey guys. 代表Okadaです。
英語圏のドラマやインタビューを見ていると、"I am a ..."の"a"の発音が”アルファベットの名前読みのエイ”になっていることがあります。これ私もかなり利用するのですが、日本人にとってはあまりにもなじみがないらしく、受講生のSpeaking(面接)の練習相手をしている時に、"This is a[エイ] ..."というと、「あそこ何て言っていたんですか?」と聞かれます。
早速使われている動画を見てみましょう。
「エイ(/ eɪ |/)」の実例動画 Ted Talks
再生開始される箇所から10秒程度(8:57まで)視聴してみましょう。
Not only am I a professor, I am a creative writer from fiction to nonfiction, from writing for DC Comics in Lion Forge Publishing Company.
I am a creative writerのaが / eɪ /になっていますね。
ちなみに関係ないですが、Not onlyがセンテンスの頭にあるためam I a professorのように、強制倒置が起きています。
aが/ eɪ /と発音される理由①:Hard A(強形のA)
英語の単語の中にはWeak Form(弱形)とStrong Form(強形)の2種類を持つのがある
英語はContent Wordという名詞、動詞など聞き手にとって重要な情報になりやすい「内容語」、そして、接続詞、前置詞、冠詞など聞き手にとって大して重要度を持たないFunction Word(Grammar Word)「機能語」があります。前者は「はっきりと長く発音」されるのに対し、後者は「ぼやっと短く」発音されます。
●Content Word:hotel「ホウテーオ」【長くはっきり】
●Function Word:to「タ」【短くぼやっと】
このFunction Wordの発音は「強調」したい場合に限り長く発音されます。つまり、「短くぼやっと」基本なんですね。
●デフォルト:to 「タ」
●強調したい:to「トゥー」
日本ではデフォルトが「トゥー /tu/ 」ですが、英語圏では「タ /tə/」がデフォルトなんです。強調したいという場面があれば、はっきりと長く発音してあげる、というルールがあるんです。
aもWeak Formがデフォルト
冠詞のaには大きな意味はないので、基本が 「ア(/ə/)」です。実は少し強調したい時に使われるaの強形が「エイ (/ei/)」だったんです。
【aの発音の基本】 ●デフォルト:弱形 /ə/「ア」 ●強調:強形 /eɪ/「エイ」
この強形にあたる音は英語では、"Hard A"と呼ばれます。弱形は"Soft A"です。
つまり、「エイ」と発音することの正体は強調だったんですね。
実例動画Ted Talksの解説
Not only am I a professor, I am a creative writer.
今回のプレゼンターは大学教授で、有名なプレゼンです。1つ目のaは通常通り「ア」で発音されます。聞き手は教授って分かってますから、ここを強調する必要はないですね。ところが、教授でありながら、「クリエイティブライター」の仕事もしている、というのは観衆からすると驚きかもしれませんね。aを「エイ」とすることで後ろのcreative writerを強調したんですね(と言ってもこのあたりは完全に個人的な感覚なのであくまでも流れからの推測です)。
日本語にすると、「私は教授であるだけじゃなく、実はクリエイティブライターなんです」
のように「実は」とか「まさに」といったニュアンスが込められます。
aが/ eɪ /と発音される理由②:Fillersとしての役割
Fillersとは
間を埋めるためのつなぎ表現をFillersと言います。日本語でいうと「えーと」。英語では、um, you know, I mean, like, など大量にありますね。
Fillersの/ eɪ /
/ eɪ /「エイ」 とはっきり長く発音をすることで、「えっと」と間をつないで、その間に次言うことを考える、あるいは、沈黙を埋める、という役割もあります。
私はほぼコチラのパターンで使うクセがあり、ほとんどum.. と同じような感覚で使っています。伸ばすときは結構伸ばし「エーーーイ」くらいになることもあります。このように話し手の主観によって発音が決められているので、聞き手がどのニュアンスで使ったかを断言することはなかなか難しいですね。ただ、私のようにクセで出てしまう人がいる一方で、多くは「強調+Fillers」のイメージで使っているでしょう。これはアメリカ英語での個人的な感覚です。
10月13日(2022)より配信開始されたドラマ "The Watcher"
ちょうどNetflixで視聴し始めたばっかりの海外ドラマ"The Watcher"に、この記事を書いている最中に「エイ」が聞こえてきたので、共有しておきます。
Episode 2の2:40くらいのところです。今のところミステリー感がとても強く、演技もうまく、俳優陣のルックスもよい、そして、視覚的にも満足しています(途中で脱落する可能性はありますが)。実話に基づいている、ということでリアリティもあると思います。ぜひチェックしてみてください。
Dean: So you are a cop?
Theoedora:A cop? Oh, dear lord, no. I was a jazz singer.
Episode 2 The Watcher
Dean :「で警察官?」
Theoedora「警察官?え、まさか。私は(実は)ジャズシンガーだったの。」
こうやってわずか2つの例を見てみて分かる通り、何かと何かを対比しているコンテクストでよく使われるのが「エイ」だと分かりますね。Ted Talksのほうは、「教授 vs クリエイティブライター」、こちらは「cop vs. jass singer」。対比しながら、一つ目を訂正したり、1つ目ではなく2つ目だ、といった流れをつくりたい、という意図が働いているのがよく分かります。
今日からaを崩そう
私は"I am a[エイ] ..."みたいな使い方をよくします。無意識ですが、ほぼFillersといった感じで使っている自覚があります。aだからきっちり「ア」と発音をする必要がないことが分かると、少し英語を話すときに気分が楽になるんじゃないでしょうか。「エーイ」と言いながら次の言葉を考えればよいわけですからね。