Hi, Okadaです。
外国の方と「花見」について語ろうと思い、cherry-blossom viewing「花見」やgo see the cherry blossoms「花見に行く」というおなじみ表現を使ってみたら伝わらなかった、という経験をしたことがある英語学習者の方は多いのではないでしょうか。「花見」は地域が限られた文化ですので、この慣習を知らない方には「なぜ花見に行くのか」「花見では何をするのか」を伝統的な背景も交えながら伝えられると最高ですね。今回はそんな説明の仕方をまとめていきましょう。
花見とは【日本人として歴史を理解しよう】
まずは日本の伝統イベント「花見」のバックグランドの確認からいきましょう。
花見は奈良時代の貴族に由来したものだと言われています。元々は梅の花を愛でることから始まったものです。これは中国の慣習の伝来によるものです。やがて鎌倉・室町時代に武士階級にも浸透していきます。豊臣秀吉の「吉野の花見」は日本史に疎い方でも聞いたことがあるでしょう。平安時代になると梅が、桜へと変化。江戸時代になると品種改良の結果ソメイヨシノがメジャーになり庶民も花見を楽しみ始めた、と言われています。花見の人気スポット上野公園の桜は江戸時代に植えられたという記録が残っています。
また、花見は「祈願」という側面も持っています。貴族が花見を楽しんでいた時代に、実は農民もこの慣習をもっていました。農民にとって「豊作祈願」という意味があったんですね。桜は、春になると山からおりてくるとされる田の神様が宿る木とされていたんです。だから、農民たちは桜がどう咲くかで農作物の収穫を占ったりしていました。
貴族の娯楽、そして、信心的なイベント。これが時を重ねて現在も残っているんですね。
私は特に後者の「豊作祈願」という考えを大事にしたいな、と思います。花見をより楽しめるような気がするからです。また、海外の人と話をするときにも役立つ視点ですね。海外にも豊作を祈願するイベントがたくさんあるので、話がさらに広がりますよ。
「花見」を英語で【相手が「花見」慣習を知っている場合】
「花見」cherry-blossom viewing
cherry blossoms「桜の花」【blossom「(果樹の)花」】、viewing「見ること・鑑賞」です。2語以上の単語をハイフンでつなげると「形容詞」化することができるため、cheery-blossom「桜の花の」+ viewing「鑑賞」= cherry-blossom viewing「桜の花の鑑賞」-->「花見」となります。
とはいえ、「花見」の存在を知らない外国人にとっては?の原因となりますので、後述する説明を追加しましょう。
「形容詞」には単数・複数の概念がないため、cherry blossomsはハイフンをつけて形容詞に変えると、cherry-blossomとなります。「6歳の娘」を 6-years-old daughterではなく、6-year-old daughterと言うのが正しいのと同じ発想です。
「花見に行く」go see the cherry blossoms
go (and) see「〜を見に行く」+ cherry blossoms「桜の花」です。
go and seeのandは "function words(あるいはgrammar words、日本語では「機能語」)"と言って相手に伝える必要のない情報のため、発音が短くこもった感じになります。「アーンド」ではなく「ウン」という感じ。これでgo and seeと発音するとandはほぼ聞こえませんから、ライティングをするときにもgo seeのように省略されるのが一般的です。
なお、go seeをenjoyにして、enjoy the cherry blossomsでもよいでしょう。
cherry-blossom viewingと一緒で、この慣習の存在を知らない人からすると??になりますから、後述する説明を追加するようにしましょう。
「花見をしに行こう」
私が英語圏の知人と話をしていてよく耳にするのが下記です。
Let's go (and) see the cherry blossoms.
Let's go cherry-blossom viewing.
私の経験ではありますが、日本にいて上記表現が外国人に伝わらなかったことは今のところありません。
「花見」を英語で【相手が「花見」慣習を知らない場合】
「花見」初体験の方には上述した表現に加えて、次のような説明を追加してあげるのがいいですね。オンライン英会話や外国人とのやりとりで、"Today I went (and) see the cherry blossoms!"と伝えて、表情が"???"となったら是非利用してみてください。
「『花見』は日本の伝統的な文化で、春の訪れを愛でる慣習なんだ。日本語では『はなみ』と言うよ。文字通りの意味は『花を見ること』なんだけど、特に『桜の花を見て楽しむこと』なんだ。」
"Cherry-blossom viewing" is a Japanese traditional custom of welcoming spring. It's called "Hanami" in Japanese. The literal meaning is "viewing flowers," but it especially refers to "enjoying cherry blossoms."
・custom「慣習」
・welcome「〜を歓迎する」
・literal meaning「文字通りの意味」
「ほとんどの日本人は花見をするのが大好きで、桜の花を見るとテンション上がるんだ。桜を楽しみながらするピクニックのようなもので、友だち同士とか仕事仲間が桜の木の下で一緒に飲べたり飲んだりするんだよ。それから散歩したり、桜と一緒に写真をとるよ。」
Most Japanese people are a big fan of "Hanami." Cherry blossoms really excite us. It's like a picnic to enjoy cherry blossoms. People, like friends or coworkers, get together under the cherry blossoms and enjoy food and drinks. Plus, we stroll, and take Instagrammable pictures with them in the background.
・is[are] a big fan of ...「〜が大好きだ」
・excite ...「〇〇で〜のテンションが上がる」
・It's like ...「それは〜的なものなんだ」
・get together「集まる」
・stroll「ぶらぶら散歩する」【take a walkでももちろんOKです】
・Instagrammable pictures「インスタ映えする写真」
・with ○○ in the background「〜を背景にして」
「桜の花のは1、2週間で散るから、なんだか名残惜しい気持ちにもなるんだよね。陽気な春が終わったような。」
Cherry blossoms only bloom for a week or two. Which is why many people kind of feel sad. It's like, nice spring days have ended.
・bloom「咲く」
・Which is why「だから」【This is whyをよりカジュアルにした感じの表現】
・kind of feel「なんか〜って感じる」
花見に関係した表現
「桜が咲き始めたよ」
The cherry blossoms have started to bloom.【現在完了形で】
The cherry blossoms are blooming.【進行形で】
「桜が今満開なんだ」
The cherry blossoms are in full bloom.
is in full bloom「〇〇は満開だ」です。花全般に使えますよ。
in bloom「咲いた」の前に「満開」ならfull「完全に」をつけます。bloomは「(果樹の)花」の意味に加えて「開花期、花盛り」の意味もあるんです。
「桜がもうすぐ満開なんだよ」
The cherry blossoms are almost in full bloom.
almostを足すだけでOKです。「もう少しで」はalmostやnearlyで表せます。どちらも「ほとんど」の意味ですが、ゴール一歩手前を示す表現です。
「今は三分咲きだよ」「五分咲きだよ」「七分咲きだよ」
The cherry blossoms are one-third in bloom.
The cherry blossoms are half in bloom.
The cherry blossoms are three-quarter in bloom.
上述した通り、in bloom「咲いた」の前に「満開」ならfull「完全に」をつけますが、このfullの部分を書き換えます。「三分」ならおよそ「3分の1」ですからone-third、「五分」は「半分」なのでhalf、「七分」はおよそ「4分の3」ですので、three-quarterとします。これよりももっと咲いている場合は、almost in full bloomとすればよいですね。なお、fullと違って、○○ in bloomという語順にするのが一般的です【in half bloomのように言っても問題ないと思います】。
「(ライトアップされた)夜桜は幻想的で美しいんだよね。」
Illuminated cherry blossoms at night are fantastic and beautiful.
・「ライトアップされた」は英語圏ではilluminated(照明で照らされた)です。
・「幻想的な」fantastic
実際の会話例
実際に私がよく使う表現を寄せ集めた実際の会話サンプルをまとめておきます。
音声はUS Englishよりに収録しています。
How was your day?
Um, today I went see the cherry blossoms. It’s called “Hanami” in Japanese. Hanami is a Japanese traditional custom of welcoming spring. You know, It's like a picnic to enjoy cherry blossoms in this time every year. People, like friends or coworkers, get together under the cherry blossoms and enjoy food and drinks. Plus, we stroll in the park or along the river, and take Instagrammable pictures with them in the background. I kind of think most Japanese people are a big fan of this cherry-blossom viewing. It really excites us every spring. But cherry blossoms only bloom for a week or two. Which is why many people kind of feel sad when they start to fall. It's like nice spring days have ended. Oh, one more good thing. Hanami is also a good workout for me.
海外の花見事情
日本から桜の木を寄贈された地域を中心にして花見文化が存在しています。日本のように桜の木で飲み食い、というより、散策を楽しむのほうが主流でしたが、最近は日本式が浸透してきています。
・ワシントン(USA)
・オレゴン州(USA)
・アムステルダム(オランダ)
・ハンブルク(ドイツ)
・スウェーデン
ワシントンの様子は下記URLで閲覧できます。
https://cherryblossomwatch.com
こういった地域では"Cherry Blossom Festival「桜まつり」"や"Cherry Blossom Forecast「桜開花予測」"【Weather Forecast「天気予報」になぞらえ】は普通に使われています。
最後に:久々の桜まつりでテンションが上がる
この数年地元の桜まつりは開催されていなかったのですが、3か4年ぶりに今年復活しました。
開催されていないのでこの3年近所のさくらスポットには全く行っていなかったのですし、極度の花粉症でもあり春に桜を見に行くなんてこともしていなかったのですが、本日ターゲットとなるスポットの近くで仕事があったので、久々に足を運んでみました。
本日は日本人よりも韓国人などの観光客だらけでした。コロナ前はここ福岡市では、中国と韓国の観光客でごった返していて大きなインバウンド需要がありました。大きな商業施設に平日昼間に行くと、9割が外国人で満たされている、という感じだったんです。まだ現在中国からの観光客に規制がかかっているので、昔ほど増えていないな、という印象ですが、それでも、人でにぎわう街を見ているとテンションが上がります。
現代の花見はもはや家族の憩いの時間、または仲間とのパーティーという感じですが、昔の人たちが桜に豊作の願いをかけていた、ということを学生時代に外国人の先生から教えてもらってから、桜への見方が変わりました。消えゆく儚さ・風情、というものじゃなく、生きるか死ぬかを左右する神々しい、かけがえのない存在。こういう伝統を子どもたちに伝えていくのが自分の仕事なのかな、と最近感じています。