ある行動をしたときに「達成感」「称賛」などの「快の感情」を味わうと, 脳内でドーパミンが分泌されます。
ドーパミンとは?
ドーパミンは, 意欲やモチベーションを高める神経伝達物質です。また, ドーパミンが分泌される直前にとった行動は, 強化される性質があります。これは「強化学習」と言われるものです。日常生活で言えば, ワイン好きな人がワインを飲むとドーパミンが分泌され, また飲みたい・次に飲める時が楽しみ, といった気持ちになります。これも強化学習の1種です。
スポーツでも
スポーツでも強化学習はあります。フリーキックの苦手なサッカー少年が, フリーキック練習をしたときに, コーチにべた褒めされれば, もっともっとフリーキック練習してうまくなりたい, という気持ちが芽生え, 職人のように上達するための創意工夫を懸命にしようとします。その結果, レベルアップする。上達を感じられるからまたもっと頑張りたくなる。またコーチに褒められればもっと練習したくなる。このサイクルの繰り返しの結果, 気付いたら上達していた, というのが強化学習です。
この手法, 学習に取り入れないのは少しもったいない気がします。
とは言え, 高校生や大学生, そして, 社会人ともなると, 小学生の時のように, 難しい算数の問題を頑張って解けたら先生から褒められた→うれしい→やる気UP→また褒められたいからもっと得意にしたくなる→また難しい問題が解ける→また褒められる→また頑張る→結果算数が大得意になった, という他者依存の強化学習は厳しいでしょう。
そこで個人でもできる最強の強化学習の1つを紹介します。
強化学習の手法 <達成度を見える化>
「達成度」を「見える化」, つまり, ヴィジュアル化する方法を学習に取り入れると, (ドーパミン分泌が盛んに行われ)やる気と意欲は自動的にUPし, 強化学習のサイクルが回り始めます。誰でもできる「見える化」の方法は2つ。
① 復習計画表を作成
記憶がガクンっと落ちるタイミングは人により差はあるものの 次のようなイメージです。
(1)1〜2日後 (2)1週間後 (3)2週間弱後 (4)5週間後 *(2)-(5)は当日からカウントして *なお、当日10分後〜も落ちると言われています。
となると, 学習した当日時点で, 見直したり, 解き直したりするべきタイミングは決まります。そこで次のような復習計画表を作っておくわけです。
➜ 学習した当日に4回分の日付を記入しておきます。 翌日の見直し・解き直しが習慣化している人は, 1週後, 2週弱後, 5週後の日付だけ書いておけばOKです。規定の日程で復習をできたら, 日付部分にハイライト(=マーカー)をします。これで達成度が見える化できるわけです。お店のスタンプカードと一緒で, 埋めることが快感になり, 進めば進むほど全てを埋めたい, という気持ちになります(また, 復習のできが良かったら, 青マーカー, 微妙だったら, 黄色マーカー, さっぱりわからなかった場合は赤マーカー, というように色分けをすると, 自分の得意・不得意がぱっと見で分かり , 学習効率が格段に高まります。もちろんそれをするのが面倒だと思う人はそこまで完璧主義を目指さなくてOKです)。この表は手書きでノートに書く, WORDで表をつくってプリントアウトして利用する, Excelに入力して管理するなど, 使うツールは何でもOKです(ボクはExcel入力をして, スマホ・タブレットと連動させて, 電車移動のようなスキマ時間にその日何をすべきかを確認をしています)。ストレスを感じないものを採用してください。
② 学習進捗表を作成
復習計画を立てづらいもの, 例えば, 同じ素材を毎日何度も反復するようなリスニング素材の音読練習などは, 事前に日付は決めづらいものです。ですが, せっかく音読をしたのに, その頑張った証を記録に残さないのはもったいない気がします。①の計画表を利用して, 音読をするごとに, 日付を書いたり, 表の空白部分(セル)にマークしたりすると, 頑張りが見える化できます。
【計画を立てるのが苦手, というタイプの人は?】
計画を立てたいけど, 何から始めたらよいかわからないという人。①くらいなら表を作成して, 学習当日に復習日程を記入する, という非常にシンプルな手法なので, これくらいなら実行に移せるはずです。あとは復習をしようかなっと思った日に, 表を見れば, どことどこをすればよいか即わかります。
まずはやってみてください。効果が恐ろしいほど高いので, 驚くはずです。
最後に, 仕事と一緒で, 学習計画は予定通り進まないことがあるのは当然です。その日にやるべきことが, いろいろな事情で結局できなかった時は自分を責めないでください。完璧にこなせる人の方が少数派です。うまくいかなければ, また日程を練り直したりして軌道修正をしていけばよいだけです。