科学☓学習

成長を妨げるやらされ感を持ったときの対処【認知心理学をベースに】

https://transformingeducation.org/resources/self-efficacy-toolkit/

Hey guys. Fukuoka English Gym代表のOkadaです。

私は一企業を経営しつつ、自社スクールの個人レッスンに加えて、高校や大学受験予備校での集団レッスンもしています。特に、後者では、1人ひとりとの関係性は作れないため、受講生は「やらされ感(やらされてる感)」を持ちやすい。様々な方法で軽減するよう工夫はしているものの、実際には全員をひっぱることはできないので、日々方法論を研鑽しています。

もしやらされてる感を持ったら、そして、どういった方法で乗り切ればよいのか簡単にシャアしていきます。

やらされ感

やらされ感は一般的に、自分にとってそれほどやる必要はないけれど、プレッシャーをかけられ、何かをやらされているという心理状態のことを言います。

もちろん、なんのプレッシャーもかけられていないけれど、「私がやることじゃないのにな〜」「なんで私がこれをしなきゃいけないの」という心理状態も広い意味では含まれるでしょう。例えば、

・パートナーが家事をやってくれない時に、いやいやしている状況
・やりたくないけど、学校の課題をこなしている状況
・上司から数値目標を命じられ、気がのらないけれど怒られるので、目標達成にむけて頑張る状況

この時、成長を阻むいくつかの要因が頭の中で発生します。

やらされ感が成長を阻む要因

1 主体性・自発性が欠けるため、モチベーションが低く作業効率が上がらない

常に受動的なネガティブ思考をしているため、まずモチベーションが上がりません。やる気が低いため、作業効率がとても悪くなります。集中してすれば、20分で終わるものが2倍かかってしまうこともあるかもしれません。主体性や自発性が欠けている状態は、こういった欠点に加えて、吸収力も悪くなってしまいます。

2 グループの士気が低下する

集団レベルで考えると、やらされ感は周りも伝染していきます。そういった人が多いほど、全体の雰囲気も悪くなり、結果、モチベーションも低く、成果も上がらない、という状況になります。

3 クリエイティブに欠ける

やらされていることを淡々とこなそうとするため、そこには「こうしたらもっと効率よくなるな!」といった創造性は発揮できません。与えられたものに創意工夫をほどこして、自分なりに解決していこうとはしないんですね。

指導者側が気をつけること

こちらの枠組みを矯正しない = 指導される側も自分なりの枠組みがある

「迷ったら難しい選択肢を選ぼう。成長ができるから。」
「もっと行動を起こそう。」

これは私が各所で言っている言葉です。科学的には、とにかく行動をしてしまったほうが自己成長をすることが多い、というのがよくある考え方です。私は、「科学」という枠組みで「行動 = 絶対的なもの」とみなしています。

しかし、指導される側には必ずしもそういった枠組みが理想像だと考えてない場合もあります。「行動を起こさない」ことの方に美学を感じる人もいるでしょう。私の枠組みAと彼らの枠組みをBは完全に対立しているんですね。指導者は、多様な世の中だからこそ、対立が基本くらいの心持ちでいてほしいです。こちらの期待に沿っていないだけで、全力を尽くして頑張っている彼らもたくさんいる

自己効力感を持てるようにする(スタンフォード大のSelf-Efficacy)

Stanford大学のAlbert Bandura 教授のSelf-Efficacyの研究によって世の中に広まったのが、「自己効力感」という考え方です。

https://longevity.stanford.edu/self-efficacy-toward-a-unifying-theory-of-behavior-change/

OKADA

私は大学入試の問題で、この教授のSelf-Efficacyの論文の抜粋を読んで、とても感動しました。

自己効力感はざっくり言うと「自分ならできる!」といったマインドセットで、3種類あります。

1 自己統制的自己効力感
 「自分ならできる!」
2 社会的自己効力感
  様々なタイプの人と人間関係を円滑にきずくことができる
3 学業的自己効力感
 学びに対しての自己効力感

「自己肯定感」と概念は似ていますが、「自己効力感」はそのマインドセットが「成果につながっていく」という含みがあるんです。結果を出すための思考ですね。

大きな目標はスモールステップに区切ってやってもらう、途中経過報告を定期的にしてもらいフィードバックする・できていることを実感してもらう。グループ活動で他人と協力しながらやってもらう(=学校でいうとアクティブ・ラーニングですね)。

このマインドセットを忘れずに下記のことに意識を向けることが重要だと言われています。

やらされ感の対処法:当事者意識をもつ

集団に入った時は、「社会的手抜き」といって、自分がやらなくても誰かがやるだろ!という心理が働きます。個人として何かをやる時も(例えば、家族が犬の散歩に行ってくれなくて、なんで自分だけが連れていかなきゃなんだよ、と考えている状況)、被害者意識が働きやすいです。そこで、おさえておきたいことの下記です。

自分自身の目的をもつ【個人の目的】 

グループとしての目標は、学校にしろ、社会にしろ、集団の中に所属すると、何かしら提示されます。学校なら、「今から〇〇をXX分で解いて〜」と言われたら、「他の人よりも早く終える」「過去の自分の数値を塗り替える」「根拠も含めて絶対に正解する」といった「自分オリジナル」の目標も設定する。自分なりに与えられたものを創意工夫してみる。そうすると、主体的にそして自発的に取り組むことができます。

それをすることで自分にとっての利点は何かを考える【個人の利益】

学校の宿題なら、新たな課題をこなすことでインプットしたものをアウトプットする機会が持てますね。会社からの「数値目標達成しろ」という圧力なら、「きちんと計画を立ててPDCAをまわして達成を目指せば、自分のプランニング力が上がるな」といったように。

それをすることで自分にとっての利点は何かを考える【個人の利益】

学校の宿題なら、新たな課題をこなすことでインプットしたものをアウトプットする機会が持てますね。会社からの「数値目標達成しろ」という圧力なら、「きちんと計画を立ててPDCAをまわして達成を目指せば、自分のプランニング力が上がるな」といったように。この経験を通して計画力をつけるんだ。といった。

集団にとっての利益を考える【集団の利益】

やらされている感を抱いたものを自分がしたときには、所属する集団にどういった利点があるのか、を考えてみるだけでも、やりがいが生まれます。上述した犬の散歩で言えば、自分が率先していけば、皆が楽ができる!といったように(個人レベルで言えば、良い運動ができる、といった目的を生み出すこともできますね)。実はやらされていると思うことも集団に貢献していることが多いんですよ。

自分自身の思いや使命感【想い】

最後は、個人的な想い。熱量や使命感を振り返ってみることです。これをこなすことでどんな自分になるのか、将来にどう影響するのか。そして、「他にやるやつがいないなら自分がするしかないだろ!」という熱量、使命感の部分も忘れないようにしてください。

最後に

上述したとおり、「やらされている」となったら、"HAVE TO"【強制的にさせられている】の気持ちを、"WANT TO"【〇〇したい】に置き換えてみてください。

また、集団の中でやらされ感を感じる場合に有効なのは、アクティブ・ラーニング・グループワークです。違った視点を得ることができクリエイティブな気持ちになれます。また、他人を巻き込むと主体的に考えざるを得ないので、いやでも当事者意識が芽生えます。

私個人としては、「やらされ感」を覚えたときには、「これは実は他人のためになっている」「これをすると自分自身のここがレベルアップする」という思考は忘れないように意識をしています。

●Self-Efficacyの関する分かりやすい記事

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