Hey, guys.
Fukuoka English Gym代表のOkada(Okadaの経歴・英語レベルはコチラ)です。本日新しくなった英検S-CBT(準1級)を初受験してきました。
実際に受験してみないとわからないことが多いですので、情報をシェアします。準1級以外にも活かせる情報になります。
英検S-CBTとは
従来どおりの英検の場合、リーディング、リスニング、ライティングが1次試験で合格した場合に、数週間後にある2次試験の面接(スピーキング)に臨む形式でした。ところが、S-CBT(2021年4月よりCBTはS-CBTに統合されました)では、1日で全てをテストすることができます。CBTとはComputer Based Testの略で、PC上でテストを受験する形式です。
英検S-CBTの面接(Speaking)はどうなる?
マイク付きのヘッドセットを装着し、再生される画面上の面接官の指示に従い、音声を吹き込む形式です。つまり、録音をしていく形式ですね。
英検S-CBTの作文(Writing)はどうなる?
こちらもPC上でタイピングをする形式になりますが、申込み時点で筆記型を選択することもできます。当日は解答用紙がもらえます。
私はタイピング形式で申し込みましたが、私の受験教室は8人くらい中タイピングは私を含めて2名でした。
S-CBTはとにかく実施時期が多い
通常の英検は年3回のチャンスしかありませんが、毎週土日に実施されます。級によっては平日受験もできディスカウントが適用されます。準1級は平日受験の設定がありません。
当日の流れ
受付後の流れ:
Step 0 ペン2本、消しゴム1個を除いて、荷物(帽子や時計も)は全てロッカーに収納
消しゴムのケースもはずすよう指示があります。
Step 0' PCブースに着席
自分のPCブースに着席すると、スピーキングマニュアルが置いてあるので、ざっと目を通します。PC上の操作マニュアルですね。
Step 1 最初はスピーキング
最初はスピーキングからです。最初にウォームアップができ、再生される面接官が質問をしてくるので、答えながら音声テストをします。その後本番に進んでいきます。
開始タイミングは自分で決められますから、準備ができたらスタートします。
注意したいのは、周りのブースにも受験生がいますので、とにかく声が聞こえてきます。先陣を切って先にスタートするのか、周りがはじめたのを見計らってからスタートするのがよいのか迷いどころだと思いますので、どっちがよいかを想像しながら事前に決めておいてもよいでしょう。
私は資格試験でスピーキングテストを受ける際はこれまで常に一番最初にスタートしてきました。利点は周りのレベルを気にしなくてよいので落ち着いて取り組めることです。そういった利点や欠点を想像してみるとよいですね。
*CBTのSpeakingの利点
- リアルなコミュニケーションが苦手な人には気持ちが楽
この録音式のスピーキングテストは、リアルなコミュニケーションや対人関係が苦手な人には相性がよいでしょう。 - 聞き返しはボタンクリック1つで
聞き返しボタンもあるため、勇気を出して、"Say that again?"(「もう一度言ってもらえますか?」と伝える必要もありませんよ。 - 残り時間が分かる【最大の利点】
準1級の2次試験面接では、4コマのナレーションがあります。2分で順々に説明していくので、1コマあたり30秒程度という計算ですね。私が受講生の面接指導をする際は、2分という感覚を染み込ませるために様々なテクニックを教えています。また、とにかく量(新しいもの、既習のものの反復)をこなします。センスのある人だとLesson 4~5回程度で2分という感覚を身につけてくれます。しかし、S-CBTでは残り時間が常に表示されるので、「このコマはもう少し詳しく説明したほういいな」など考えながら進めることができます。S-CBTのみしか受験しないのであれば、最初からTimerありきで練習してもよいかもしれません。ナレーション後のQ&Aも同様で残り時間が表示されるので、客観的に答えが短いな、もう少し説明を付け足したほうがいいな、という情報がわかります。 - Small Talkが不要
リアルな面接ではSmall Talk(雑談)があります。緊張する人にはかなりのストレスになるウォームアップの部分ですが、CBTではこの部分での会話のキャッチーボールがないので心理的なストレスは軽減されるかもしれません。 - Attitude(態度)のスコアは声だけで判定
対面だと面接官は視覚的な情報も加味してしまいますが、CBTでは声だけアピールできる。 - 面接官の態度に左右されない
英語圏の多くでは、聞いているときにうなずくというジェスチャーはしません。こちらが一生懸命話していても、微動だにせず聞くことに集中します。口角を上げてリラックスさせようとしてくれる方もいれば(これ私です)、無の表情の場合もあります(現在はマスクで表情が見えないですね)。後者の場合、受講生いわく、「この人私の話を聞いてくれているのかな」「怒っているのかな」「解答がまとはずれなのかな」という心理を抱いてしまいがちです。実際にはそうではないのですが、そういった心理的影響は起きえます。S-CBTではそういったことは一切なく、完全に自分との闘いですので、他人に左右されることなく、練習成果がそのまま形に現れるのではないかと感じます。
*CBTのSpeakingの注意点:制限時間がある(制限時間詳細と採点基準も公開)
対面式の場合は規定の時間はありますが、受験生のパフォーマンスを考慮して、面接官側がきっちり終わりないという選択ができます。双方向性のコミュニケーションですので、少し盛り上がり、時間がおしていなければ、規定時間よりだいぶ多く話をする、ということもあります。
一方でS-CBTは制限時間があります。詳細はコチラをご覧ください。
Step 2 次にListening
リスニングも自分のタイミングでスタートすることができます。B5両面のメモ用紙が事前に配布されるため、メモをしながらリスニングをするタイプの方はそちらを使用することになります。後にライティングのブレインストーミングをする際にも使うことになりますので、スペースは残しておきましょう。
*よくあるQuestion 1 : CBTってListeningは先読みできるの?
リスニングパートでの最大の疑問は「先読みできるか」どうかでしょう。
できます。次の設問だけではなく、そのPartを全て先に見ることができますので、Partのアナウンスのときにいけるところまで先読みしておくと集中して聞くべきポイントが明確になるでしょう。
残念ながら、選択肢をグループ化したり共通項を切り落とすために消したりする作業を普段やっている場合は、この作業はできません。S-CBTを受験する際は、普段の練習であえて手を動かさず解く、あるいは、キーワードはメモに書き出す、などの練習をしておくとよいと思います。
Step 3 最後にReadingとWriting
順番はどちらから進めても大丈夫です。
*よくあるQuestion 2 : Readingで書き込みはできないの?
普段、線を引いたりして根拠の箇所を見える化している受験生は非常に多いと思います。
S-CBTでは書き込みは・・・
できます。マウス操作にはなりますが、
・ペン
・ハイライト(マーカー)
・消しゴム
の機能が使えます。
さらに、自信がない問題はチェックしておいて、見直し時に再確認をしたいという受験生の方も非常に多いですね。S-CBTでは見直し用のチェックボックスがついているため、こちらも可能です。
ペーパーベースにない魅力としては、見直し対象の問題は画面右側で一覧になって出てくるので、いちいちページを捲ってどの問題だったかな・・・という作業をしなくてよいんです。
*よくあるQuetions 3 : タイピング式ライティングの利点・欠点
タイピング式での利点は、
・語数を自動計算してくれる
・コピペもできる
・字が汚い人にとっては最大の味方(私の味方です)
タイピング式での欠点は、
・タイピングスピードが遅い人にはつらい
・普段Macbookを使っている場合はかなり使いづらい
私は普段Macbookを使っていますが、試験会場にあるPCは基本的にWIndowsです。キーボードのキーがとても高いですし、(アルファベット部分しかタイプしないのでさほど気になりませんが)配置も違いますので、結構苦労します。慣れる間もなく終了してしまいます。
また、S-CBTの欠点としてタイピング式の存在が挙げられます。会場はタイピング式と解答用紙式の受験生が混在します。キーストロークが強めの受験生がいる場合は「カチャカチャ音」がかなり気になるのではないかと思います。このカチャカチャ音が集中力をそいだり、内容が頭に入ってこないという現象を起こすことが多いのは、資格試験受験生あるあるです。私も極力静かにタイピングするようにしていますが、キーが高いため頑張っても大きな音がでます。
戦略としては、カチャカチャ音が鳴ったら、ヘッドホンをつけて音を軽減する、あるいは、集中できなくなったらライティングに飛ぶ、という手段が考えられます。また、普段から雑音が多い場所での勉強も取り入れるのもおすすめです。最近は、AirPods Proのようにかなりノイズを消してくれるヘッドホンをが多くなり便利ですが、たまには外部音取り込みモード(Transparency)で雑音が入るようにするのもいいですね。
Step 4 終了した受験生から退出
残り時間は常にスクリーン右上に表示されます。
終わった受験生は解答終了のボタンをクリックして退出することができます。
コスパ重視の現代人・デジタル派にS-CBTがおすすめ
今回、新しくなったS-CBTを受験してみて、改めてコスパがいいなと実感しました。
1 時間的コスパ
入室が9:00-9:15で試験開始は9:15という表記になっており、私は9:14に入室したのですが、すぐに試験が開始されました。従来型は荷物をしまってからの待機時間がとても長いですよね。そして、終了した時点で退出できるのは上位レベルの受験者には非常に助かります。時間的なコスパが最高にいいなと思います。3時間程度でSpeakingも含めて4スキル全てが測れるのも魅力的です。従来型だと、Speakingは1次試験を通過しないと測れないですからね。
2 デジタル派はS-CBT一択
また、普段iPadなどをノート代わりにしていたり、タイピングをしたりしていて、もはやシャーペンやペーパーノートを使わない・電子書籍中心という人(私みたいな人)にとっては相性が良いでしょう。おなじみの環境で試験が受けられます。
3 速読力をつけざるを得ない環境の構築
上述したように、ペン、ハイライト(マーカー)は可能ですが、書き込みにある程度制約がかかるというのも非常に魅力的に感じます。特に高校生くらいだと、スラッシュをいれたり、SVをつけたり、根拠の箇所にアンダーラインを引いたりといった書き込みがないと、スムーズに英文が読めない、パフォーマンス力が下がるという方が多いと思います。しかし、書き込みをすることのデメリットは「速読力が落ちる」ことです。S-CBTは、細かい書き込み作業を強制的にしない環境を作り上げることができます。つまり、無理やり頭だけで処理していく力がつくわけです。当然、速読力UPが期待できます。
最後に:申込みは素早く
私の住む地域は地方の中の都心です。そのため試験会場がそれほど多くないため一極集中します。実は数年前からCBTの申込みは試みていたのですが、いつも満員になっていました。理由は一度に受験できる人数の少なさでしょう(会場とPCの少なさゆえ)。今回は申込み開始と同時に申込みをしたところ無事申込みができました。
上述したとおり、S-CBTで受験すれば1日で完結するだけじゃなく、書き込みをしないというスタイルを採用せざるをえない状況を作り出せます。従来型英検と同様にスコア判定されますので、かなりメリットが多いでしょう。
さて今回の準1級の会場には中学生(中2くらい)がいました。私は周りよりはやくスピーキングテストが終わったので、少し聞き耳を立ててどんな受験者層が多いのかを確認していた(…こんなことしてスミマセン。こういうのをレッスンでの指導や私自身が面接官として受験生を面接するときに活かしているんです)のですが、後ろから聞こえてくるその声がとにかく流暢でした。間違いは多いのですが、伝えよう伝えようという想いが全面に出ていて、発音やイントネーションも含めてとにかく精一杯自分の力を出そうとしているのが直に伝わってきました。
私は難解なトピックでなければ、苦なく話せますが、録音形式の試験となると(対面じゃないため)少し冷めた部分が表に出てしまいます。彼の声を聞いていて、言語学習とは本来こういうものだ、と初心にかえらされました。伝えようとする姿勢、これはコミュニケーションの土台なんですよね。
そして、資格試験で高いスコアを取得している方は同じようなことをおっしゃっていると思いますが、本番体験を踏むと自分のレベルが格段にUPします。私自身、TOEIC(LR)は2月から毎月受験していますし、その中でのスキルアップは実感しています。迷う前に申込みをし、受験せざるを得ない環境をつくりましょう。