発音

最強の発音ルール TOP6 -Listening & Speaking力を飛躍的に上げる音

2020-04-26

 

リスニング時に相手の言っていることが聞きとれない, 自分の言ったことが相手に伝わらない。スクリプトを見てみたら何だこんな簡単な単語だったのかあ, という経験は全ての英語学習者が体験してきたのではないでしょうか。

筆者が特に印象に残っているのが高校時代に外国人留学生と将来について語っている時に,  career (経歴, キャリア)をKorea と聞き間違えたことです。文脈からも「韓国で働きたい」のような話だったので。日本語では「キャリア」ですが, 英語ではアクセントはeeにあり「クリア」「コリア」に近い発音になり, Koreaとほとんど同じ音声になります。careerのcaが「キャ」ではない原理は今回ご紹介するルールの6つ目で確認できます。

表現力や語彙力も重要なのですが, ListeningとSpeaking技能は「発音」の影響をかなり受けます。

まずは実力のチェックから

発音チェック①

次の英文を発音してみてください。そしてモデル音声で確認してみましょう。

I'm so sorry, but what are you talking about?

音声サンプル

 

簡単な解説

この文は私のお気に入りの文です。実用性もあり, ルールも大量に仕入れることもできるからです。butのtは脱落音(=消える)。whatのtはFlap T。areは機能語(=弱形)で「アー」ではありません。talkingのgは脱落音。aboutのaはSchwa。tは脱落音。だから「アバウト」じゃなくほとんど「バウ」です。

but〜は「バットホワットアーユートーキングアバウト?」ではなく, 「バッ ワダユトーキンバウ?」となります。

 

発音チェック②

Hey, have you ever been to Singapore?

音声サンプル

 

簡単な解説

haveのhは脱落または薄れて「ハブ」じゃなく「アブ」に聞こえます。beenは機能語(=弱形)と言い「ビーン」ではなく, 「ビン」。toも機能語(=弱形)で「トゥー」ではなく, 「タ」。

have you ever been to は「ハブユーエヴァービーントゥー」ではなく「(ハ)アブユーエヴァビンタ」となります。

いかがでしょうか。イメージしていた音声と実際の音声にズレがある場合は, リスニング時に聞き取れない可能性が大です。なお, 解説記載の脱落や機能語などの用語はこの後ルールTOP 6で説明をいたします。

 

リスニングの仕組み - 音声知覚・意味理解という仕組み

発音ルールTOP6を確認する前にリスニングの仕組みを確認しておきましょう。

音の聞き取りにおいて, 予想とリアルのギャップが生じる

リスニングは「音声知覚(=音の聞き取り)」と「意味理解(=意味の理解)」の両輪で成り立っています。

前者について。例えば, modelを「モデル」と思ってリスニングした場合, 実際の「マドー」に反応できません。予想する音声とリアルな音声のギャップが生じているわけです。当然, これらのギャップを埋めるための音声トレーニングが不可欠です。そして最も即効性が高いのが今回ご紹介するルールTOP6を覚え練習していただくことです。

一方, 意味理解とはそもそもの語彙・表現力・文法力の有無に左右されます。例えば,  Sometimes I am in kind of trouble, like when I have to leave a cash tip.(時々何か困っちゃんだ, 例えば現金でチップをおいておかなきゃいけないときとかさ。)を読んで, 内容が理解できないのなら, 聞いても無理でしょう。kind of「なんか」, like「例えば / えっと」という表現や, when  SV(〜するとき)という文法構造の理解が必要ですね。

 

発音が苦手だと音の聞き取り処理に時間がかかり内容が入ってこない

最後に今回ご紹介したルールTOP6を意識して音声学習していただくことによるメリットです。

リスニングが苦手な場合の脳内は, 音声が入ってきた時点でその処理【=音声知覚の処理。つまり, 音の聞き取りの作業】を一生懸命を行おうとします。その結果, 本来必要な意味の理解のスピードが追いつかなくなります。これが, リスニングしても内容が入ってこない, という現象の1つの理由です。

ルールTOP6を習得し, 音読し, シャドーイングまでが正しい音声でできるようになると, 次のように頭の中で音声処理が素早く終わり, 主目的である内容理解が促進されます。

脳内の音声変換処理力が高まるため, 黙読においても, 速読が可能になります。

 

 

最強の発音ルールTOP6

世の中には様々な発音ルールが出回っていますが, 私の経験上必要なものは6つで十分だと考えます。

 

1.Flap T

音声をチェック

 

Flap Tとは

「はじき音」と言われるもので, tが母音に挟まれると, 主にアメリカ英語では, dの音に変わります。さらに発言スピードが早くなると「ラ行」に変わります。

But I は「バット アイ」ではなく「バダイ」や「バライ」と発音されます。もちろん, はっきりと発音される場合もありますが, 「バットアイ」ではなく, 「バッ アイ」となります。これは後述するElisionルールによるためです。betterは「ベター」じゃなく「ベダ」「ベラ」です。

音声変化が起きる理由はシンプルに「省エネ

Flap Tのように本来の音声が変化して別の音声になる理由は, 「省エネ」です。その方が発音するのが楽ちんだから起きます

日本語でも「分からない」を「分かんない」, 地方に行くと「分からん」となります。「ら」の発音は面倒なので, 「ん」になり, 「んない」も面倒なので「わからん」に短縮というイメージです。Flap Tの場合, Tは摩擦音といって口で摩擦を起こさなければならない面倒な音なので話者は省エネを起こそうとします。

さらに, 母音は有声音(=喉が振動する音)である一方, tは無声音(=喉が振動しない音)です。前後が有声音なのに真ん中のtだけ無声音にするのは切り替えが面倒。日本語でも「アボカド」がスーパーによっては「アボガド」と誤表記されている場合がありますが, これは「有声音」のボとドに挟まれた無声音の「カ」の発音が面倒(有声音→無声音→有声音の切り替えが面倒)なので起きている現象と言えます。t「トゥ」に対応した有声音は「ドゥ」, つまり, dになるため, 「ダ行」に変わります。スピードが早くなるとここにさらに省エネが起きて, 「ラ行」へと変わります。

Flap T 応用① -母音 d 母音 の場合も

母音+t+母音 がFlap Tのデフォルです。このtはdの音に変わるんでした。そもそも, 母音+d+母音のスペリングの語はFlap Tのときと同様省エネが起きて「ラ行」になります。

ladder △「リャダー」○「リャラ」

Flap T 応用② - t l  の場合も

母音+t+l+母音もflap Tが起きます。

little   △「リトル」○「リドー」「リロー」

Flap T 応用③ - d l  の場合も

母音+d+l+母音もflap Tのさらなる省エネが起き「ラ行」。ただし個人的にはこれは省エネが起きないケースが多いです。

middle  ○「ミドル」◎「ミロー」

 

2. Dark L

音声チェック

 

Dark Lとは

Dark Lも本来のLの音の省エネ現象です。語末にlの音がある場合は「ル」が「オ」(または「ウ」)の音に聞こえます。animalは「アニマル」じゃなく「アニモー」や「アニムー」となります。日本人にとって最も身近なのは appleの「アッポー」でしょう。英語にSilent eというルールがあり, 語末のeは発音しないことになっています。ですあkら, appleはapplだけ発音することになります。こうすると語末はlということになります。

通常のLの音(=Light L と言います)は, 舌先を上前歯の裏部分(歯茎)につけて発音します。

一方, Dark L は, 口は半開き状態で力を入れず舌の付け根部分を喉の奥の方に引きます。発音の最後にDark Lと同じように軽く舌先を添える程度です。場合によっては添えることすらしない場合もあります。

 

Lは2タイプの発音があると考えればOK

このようにLにはlightとdarkがあるので, そもそも2種類の発音の仕方があると考えておきましょう。

 

3. Elision / Reduction (脱落)

 

音声チェック

Elision / Reduction とは

ElisionまたはReductionは脱落音と呼ばれています。elisionは「削除・省略」, reductionは「減少, 削減」の意味でreduce(減らす・減る)の名詞形です。これも省エネ現象で, 消えるまたは弱くなります。例えば, jobのbは破裂音といって唇をくっつけて発音する必要があります。これ1単語だったら面倒ではないのですが, 文で話すとなると面倒です。その結果, 「ジョブ」が「ジョー」となります。Good job!(よくやったじゃん!)は「グッドジョブ」ではなく「グッジョー」って聞こえます。

①語末の破裂音

語末に[k] [g] [p] [b] [t] [d]の音がある場合は, これらが消えるか弱くなります。

Good morningは「グッドモーニング」ではなく「グッモーニン」になります。さらに実際の会話では「グッ」の音さえも消えて「モーニン」とだけ言う場合もあります。とことん省エネが起きるのです。

②子音連続

hot teaの場合, tの音が2連続して面倒です。その結果, 1つ目が脱落し, 2つ目が残ります。

③類似音連続

②と同様の理由です。good timeならd「ドゥ」とt「トゥ」が似ているので, dを脱落, tを残すということになります。

④文中の語頭hとth

日常会話では I like him. は「アイライクヒム」ではなく「アイライキム」と聞こえます。himのhが脱落して「ヒム」から「イム」になるんですね。

海外ドラマの英語字幕で I like 'em. という表記を見たことがありませんか?これはI like themのことです。themのthは省エネのため脱落します。「ゼム」ではなく「エム」となるため, them→'emという表記になっているんです。I like themは「アイライケム」ってなります。

⑤ntのt

winterは「ウィンター」ではなく「ウィナー」って聞こえます。まるでwinner(勝者)のようになるんです。nという「鼻音」の後に音を破裂しなければならないtの音は面倒です。

実は, want to の省略形のwannaはこのルールから出来上がっています。まずwant to のtは連続しているので「ワントゥ トゥ(want to)」ではなく「ワントゥ(wan to)」という発音。さらに, ntのルールが適用され, 「ワナ(wano)」となります。これがwannaという語を作り出しました。

going to の省略形 gonnaも出来上がった背景はほとんど一緒です。

 

4. Linking (連結)

音声チェック

 

Linkingとは

世代によっては, 別名のLiaison(リエゾン)という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

単語の最後の音と次の単語の最初の音がくっついて一つの音を形成します。linkとは「つなく, 関連付ける, 連結する」という意味のですので, 文字通り2つの音を一つにする役割があるんですね。

PPAPでおなじみの歌詞がイメージしやすいので見てみましょう。

I have a pen. I have an apple.

have a
→「ハヴ ア」ではなく「ハヴァ」になります。haveのeはサイレントeですので, 実質 hav a が発音され, vとaが連結します。
an apple
→「アン アップル」ではなく「アナッポー」になります。anのnとappleのaが連結します。

 

5. Assimilation (同化)

音声チェック

 

Assimilationとは

単語の最後の音と次の単語の最初の音がくっつき「別の音」を形成するのがassimilationです。

assimilation のTop 3は
①d -- y ②s -- y ③t - y

Did youは「ディド ユー」ではなく「デッジュー」です。dとyはくっつき新たな音を作っているのです。

 

6. Schwa (あいまい母音)

 

音声チェック

 

Schwaとは

英語には主要母音である a e i o u がありますが, これ以外に「あいまい母音」という音が存在しています。つまり, a e i o u のようなはっきりした発音がされずに適当に発音される。だから「あいまい」という言葉がしっくりきます。「シュワ」と呼ばれる場合もあります。次のようにeの反対の発音記号です。

Schwaの発音の仕方

  1. 口に力を入れずリラックス
  2. 半開きにして
  3. 暗くこもった感じで「ア」と言うこうすると弱った「ア」や「ウ」や「エ」に聞こえます。場合によっては消える場合もあります。

ではどんな場合にschwaが登場するのでしょうか。実は気づいていないだけで会話をすれば1つの発言で必ず使うことになります。

① アクセントがない母音はほとんどSchwa

英語の発音ルールの代表例で「アクセントがない母音は [ə] へ」というものがあります。

careerはeeにアクセントがあるため, aを強く発音しようがありません。結果どうなるか。暗く弱くならざるをえないのです。この時の発音が「あいまい母音」になります。「キャリア」ではなく「クリア」と聞こえるのはこのためです。

英語の歌詞 では aboutは 'boutってなっていることがあります【e.g. I' m thinking 'bout you.】。aboutは「アバウト」ではなく「ウバウト」になります。あいまい母音になったaの音が暗く弱すぎて, 実際の会話では消えてしまいます。その結果, about → 'boutという表記になりました。

昔の人はアメリカ人を「メリケン人」と言っていました。神戸にはメリケンパークがあります。未だ高齢者の中には「小麦粉」を「メリケン粉」という方もいらっしゃいます。これはアメリカから輸入された小麦粉を「メリケンの粉 → メリケン粉」となりました。漢字表記すると"米利堅"です。なぜ「メリケン」と聞こえたか。Americanのアクセントはeの部分です。だから, 最初のAはあいまい母音です。昔の人はこの部分が聞こえなかったので「アメリカン」が「メリカン」となったのです。 後半のcanのaもあいまい母音になるので「キャン」「カン」ではなく「ケン」となりました。

 

②機能語 / 弱形

英語には内容語と機能語があります。この内容語と機能語の識別ができると, 聞き取れなくても大丈夫な箇所が分かるようになるため, リスニング時の負担が大幅に軽減されます。また, 発音が格段によくなるため, イントネーションが英語圏の人々のようになります。音声が理解できるから, 音読効果がより高くなります。

●次のセンテンスを音読してください

Michael finished and submitted his homework because his mother helped him last Sunday.

【音声チェック】

 

●内容語・機能語とは

あまり知られていませんが, 単語は内容語と機能語に分類されます。

内容語とは

相手に情報としてきっちり伝えなければ意味内容を理解してもらえない情報・語

①名詞     doctor
②動詞    get
③形容詞     famous
④副詞       now
⑤疑問詞     when

内容語は, 省エネ現象の影響は受けるものの, はっきりと発音されます。さらに意味理解に必須のため聞き取りが必要です。

機能語とは

文法上や文構成上必要なので置かれている語

①接続詞   and
②前置詞   at
③冠詞    a(n)  the
④助動詞    can
⑤関係詞    that

聞き取りに失敗してもたいていなんとかなります。

つまり, 内容語さえ聞き取れれば相手の言っている内容は掴み取れるわけです。英語圏の人でも発言内容をディクテーションすると機能語が聞き取れていないケースは非常に多いのです。

 

●機能語には弱形という視点がある

さらに機能語には発音の仕方が2つあります。

基本的に弱形で発音され, どうしても強調したい場合のみ強形になります。日本人は残念ながら中学時代に強形が標準と刷り込まれますが, 弱形の方がデフォルトです。ofは「オブ」は強形です。英語圏ではof「ゥブ」「ヴ」「ゥ」なのです。

<弱形・強形の実例>

弱形の発音

弱形は「短く」発音されます。beenは「ビーン」ではなく「ビン」になります。速く発音されているというよりもむしろ短い音なのです。短いゆえに少しこもったような音声にもなります。

辞書には検索した単語の最初に次のように<弱>や<強>と記載されています(出典:ジーニアス英和大辞典第5版)。この記載があるものは弱形がデフォルなので, この辞書の場合, ofは「ゥヴ」や「ヴ」が基本。canは「キャン」ではなく「クン」「カン」が標準だと分かります。「キャン」は強調したい時の特殊音だったんですね。

この弱形の音は大部分が「あいまい母音」になるんです。

この弱形把握はリスニング力だけではなく, 発音・イントネーションレベルを格段にあげてくれます

 

●センテンス再読

Michael finished and submitted his homework because his mother helped him last Sunday.

*下線部以外が機能語, つまり, 弱形です。下線部でもDark LやElisionが起きています。

 

③ スペリングルールによるもの

英語では, スペリング(つづり)と発音・アクセントは連動しています。

例  on / om / ov のoは「ア」と発音するため,

ton(トン)は「タン」
oven(オーブン)は「アブン」

となります。

こういったスペリングルールが原因で「あいまい母音」になるものがあります。

母音+r のルール

母音+r は次のようなルールとなります。

ar →  a=明るい発音(発音記号で言うと, ɑ になります。ɑ = あくびの「ア」の形)

er / ir / ur/ ear → e/i/u/ea = 暗い発音(つまり, 「あいまい母音」)

e.g.
art, hard → 明

better, girl, hurt, heard → 暗

 

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