教育 科学

パフォーマンスを下げる社会的手抜き&解決策

2020-04-20

この記事を書いている人:岡田 直也 (The NY Press, Inc.)
Okada

1つのグループの人数が多ければ多くなるほど「社会的手抜き」という現象が起きます。友人同士から大学のゼミ, 仕事の小さなミーティングまで様々な場で起きます。

社会的手抜きとは

別名「傍観者効果」や「社会的怠惰」と言われるものです。1人ですれば作業をするよりも, 集団で作業した方が一人ひとりの作業効率が下がってしまうのです。

小さなものから大きなものまであり, 無意識のうちに起こってしまいます。

・会議
… 誰かがアイデアを出してくれるだろうと受け身になってしまう

・授業
… 教員から意見を求められても他の誰かが答えてくれるだろうと待ってしまう

・友人同士でのグループLINEのやりとり
… 他のメンバーがやりとりを盛んにしている場合, チャットへの参加率が下がる

 

社会的手抜きは何人から起こる?

ドイツの農業技師リンゲルマンが, 1913年に, 綱引きでの牽引力を測定する実験を行った際に,

1人で引っ張る:100%
2人で引っ張る:1人当たり93%
3人で引っ張る:1人当たり85%
5人で引っ張る:1人当たり70%
8人で引っ張る:1人当たり49%

という結果がになりました。

8人ではパフォーマンスが著しく下がり, 半分の力になることが分かります。

学生時代にグループ活動をしていて完全にさぼっていたメンバーがいた経験はあると思いますが, そういった全く努力をせず力を発揮しないメンバーのことを「フリーライダー(ただ乗りする人)」と言い, プロのスポーツ選手でも起きてしまう現象です。

 

ミーティングをする際は少人数・短時間で

依然として大会議室での会議を好む企業もありますが, 最近, 会議を少人数で立ってする企業が増えています。大会議室でのミーティングは社会的手抜きの格好の場となり, また, 立ってすることでさっさと意見を出し合って切り上げたいという心理が働きます。最初から時間制限を決める, または1つのトピックごとに何分かかったかを記録していくことも効果が高いとされています。

 

教育に携わるものとして

筆者は高校での講演会を頻繁にしています。最近は有志を募って30人程度の少人数に設定してくださる学校が増えましたが, 100~200人の講演となると, どう頑張ってもかなりの割合で社会的手抜きが起きます。そうならないために, 最近ではこちらから人数制限をかけて実施できないかを打診するほどです。

また, 私の運営する英会話スクールでは, 受講生同士が気軽にやりとりできるorこちらから提示した課題を一緒に考えてもらうグループチャットが有料であります。お金は払えど, 集団に溶け込むと, (私もそうですが)なかなか盛り上がらない。誰かが意見を出すのを待ってしまい, 1週間やりとりがないということも以前ありました(この気持ちは本当によく分かります)。

 

私が実際に実践している解決策例を提示します。これは仕事の場でもそうなのですが, 学校教育の場(筆者が講師を務める高校)でも実際に行っています。ですから, 教育関係の皆様(以下のことはかなり当たり前のことと感じる方の方が多いでしょうが)も是非参考にしてください。

 

解決策1 フィードバックをこまめに

他人がどうにかしてくれるだろうからという深層心理が社会的手抜きですので, 「1人ひとり」への「フィードバック」, つまり, 「評価」を定期的に行うことが重要です。そのためにコミュニケーションをできるだけとって, フィードバックを素直に受け取ってもらえる土台を作る必要があります。

解決策2 目標の設定

手抜きを防ぐために, その日の目標を設定しましょう。それでも手抜きは起こりますので, 小目標を散りばめて, やりたい気持ちUPを自動化します【=スモールステップ】。達成するとモチベーションが高まります。また, 時間的制約も有効です。

解決策3 グループorペアワークを実施

貢献度をいやでも高められるのが, 少人数グループかペア活動です。グループの場合8人だとパフォーマンスが半分に下がることが分かっているため, それよりも少ない人数での設定が必要です。

解決策4 ミーティングはタイマーをおいて立ってする

時間制約をしっかりかける。そして, 立ってすることで早く終わりたい→意見をたくさん出したいという心理を高めます。スマホなどのタイマーをディスプレイにうつして全員で共有しながら進行するのも効果大です。

解決策5 途中・最後に感想を依頼する

後に意見が求められると分かっていれば, 嫌でも真剣に聞き考えをめぐらせます。学生でいうと「授業の最後の5分で小テストするよ〜。内申点にかかわるから〜。」という先生の脅し文句が効果絶大なのと同じですね。このようにして当事者意識をもたせることが重要です。

 

一人ひとりができること

集団心理が働くことはどうしようもないことですので, 受ける側ができることはそのような心理が働くことでパフォーマンス・質が下がってしまうという事実があることです。受け身ではグループとしても個人としても成長がないため, 自分から能動的に動くことをルーティンとしましょう。

能動的・自発的に動くための一工夫

事前段階で自分にルールを課すのがオススメです。例えば, ミーティングなら「今日は3つの質問をする」「意見を求められたら2回以上最初に発言をする」といったルールです。こういったルールは立てておくことで当事者意識が高まるため, グループへの貢献度が自ずと高まります。

万全と映画を2時間観るのと, 映画を2時間観終わったらSNSに感想を投稿しよう!というルールを事前設定しておくのとでは, 視聴の精度がまるで違うのと同じ現象です。

 

【参考記事】
Kendra Cherry. How Social Loafing Is Studied in Psychology; Jan 2020

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