ライティング/作文

自由英作文Model Answer【翻訳機器の精度が上がる中、外国語を学ぶことは時間の無駄か】(2019新潟大)

2023-02-06

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Hey guys. 代表Okadaです。

今回は定番すぎて逆にないがしろにしてしまいそうなトピックです。英語や外国語はコミュニケーションツールですが、翻訳デバイスや翻訳アプリの精度が益々上がる中、もはや外国語を学ぶ必要はない、という指摘もあります。実際にそういった機器を使って海外出張を乗り切っているビジネスパーソンは多いわけですから、それぞれの利点・欠点については議論の対象になりやすい、つまり、出題するトピックとして出しやすいと言えますね。

OKADA

外国語や英語を学ぶ意義。これは私が大学生時代の時に最も重視していたことであり、英語ネイティブスピーカーの教授、フランス語ネイティブスピーカーの先生から何度も言われたことを今でも覚えています。どちらの先生も共通して「社会で役立つスキル」とおっしゃっていて、「違った言語を学ぶことで社会に出た時に未知の問題に遭遇した時に頭に浮かぶ選択肢が増える」ということが両先生に共通していたことでした。アメリカの小説の講読の講義でも「読書することで自分にはないキャラクターの視点が手に入る。社会に出て相手の気持ちを想像できるようになる」とアメリカ人の先生がずっと言っていました。なるほど!となったのと同時に、学生でしたから実感はわきませんでした。社会に出てもうすぐ20年になりますが、年々外国語や読書量をしっかり確保してきて良かったと思っています。

問題(2019新潟大)

問題B. 次の質問に80語(80 words)程度の英文で答えなさい。解答欄末尾の所定の箇所に。解答に用いた語の数を「(75 words)」のように必ず記すこと。ただし、ピリオドやコンマなどの句読点は語数に含めません。

Modern day computers are now able to translate quickly and more and more accurately, so some people think that learning foreign languages is a waste of time. Do you agree or disagree? And why?

設問の条件

・「外国学習が時間の無駄だ」に対しての賛否

・理由はコンピュータの翻訳技術の精度の高さと関連付けられていること

マインドマップ サンプル

(3-5min を想定)

上記で挙げている翻訳機器の視点として次のようなものもあります。

・外国語は翻訳機器に任せて、浮いた時間で現代社会で求められるスキルを高める
例.
 芸術科目の拡充 --> 芸術は「想像力」「クリエイティビティ」「共感力」という社会で求められるスキルが身につくと考えられている
 情報系のスキル --->テクノロジーの発展に対応できる人材を育てるために情報系の科目をもっと勉強させる(プログラミング以外)

アウトライン「無駄ではない

Outline(2-3 minを想定)

T翻訳技術は高まっているが、外国語学習は無駄ではない
S外国語学習は視野を広げてくれる
S'(譲歩)外国語はただコミュニケーションツールだと思われがちだ
S''別の言語を学ぶこと = 異なった考え方を知ることができる
S"'国が違えば、文化、宗教や人種が異なるから
S''''実社会で困難にぶつかった時により広い視点で対応できる
S'''''これは翻訳ツールでは身に付けられない
C以上から早期に外国語学習をさせるべきだ
T: Topic Sentence, S: Supporting Sentences, C: Concluding Sentence

今回はわずか80 wordsですので、しっかりとサポートを掘り下げられるように理由は1つにして徹底的に深堀りする、という想定の構成メモにしました。また、80 の割にはすこし分量を多くしました。もし超過になれば、コンクルージョンを消して対応する、という戦略をイメージしています。

実際にライティングをしてみたら、サポートの最後で80を超えてしまいました。ただし、事前のアウトラインで切っても大丈夫、という想定をしていたので、自信を持って切ることができます。

受験生の皆さんも、このアウトラインを全てのコントロールセンターと思って、迷った常にここにたちかえってください。

OKADA

Model Anser

Today computer's ability to translate has been rapidly developed, but I disagree that foreign language learning is a waste of time. The reason is that it broadens your mind. Many people assume that foreign languages are just a means of communication. But learning them enables you to realize how diverse the world is. Ideas, cultures, religions or races are different from country to country. These new perspectives, which you cannot get through using translation devices, allows you to more easily deal with some challenges in the real society.

(88 words)

ピンクのハイライトのセンテンスで設問の条件となる「精度の高い翻訳デバイス」を落としているので、外国語学習によって視野が広げられる、という主張が設問の要求に答えることができています。

外国語学習は文化とコンビにしておく

早期の外国語学習・英語学習の是非は流行のトピックとなります。

日本国内でも現在外国人労働者の数が増えているため、コミュニケーションツールの英語の役割は大きくなっていくでしょう。行きつけの地元のレストランは中国、韓国、ネパール、タイ、カンボジア出身の方で8割、残り2割が日本人スタッフさんです。時間帯によっては、日本人のマネージャーさん1人であとは外国人しかいないので、ここはどこの国?と思うことさえあります。職場で円滑にコミュニケーションをとっていくには、やはり直でキャッチボールしたほうが早いでしょう。特に飲食はスピードが求められます。また、コミュニケーションはアイコンタクトやジェスチャーを通じて相手の気持ちを予測する、という役割も担います。さきほどのレストランの例でいくと、全員が共通語で英語を話せれば、潤滑な会話と相手を思いやる気持ち両方を確保することができます。とにかく、外国語は翻訳デバイスより今のところ、認知面も含めて、コミュニケーションをより円滑してくれるものだと思います。

とはいえ、それだけはなく、今回モデルアンサーでご紹介したように、外国語を学ぶことはその国文化を学ぶことと常にコンビになります。

例えば、英語の現在完了形を使ったセンテンスで "My grandpa has been dead for 10 years."「じいじは10年前に死んだよ」というものがあります。我々日本人の感覚からすると、My grandpad died 10 years ago. の方が自然ですが、英語ではhas been dead「ずっと死んでいる」という発想があるんです。英語圏では、人が亡くなった時、日本の火葬と違って、土葬が一般的です。死生観の違いで、人が亡くなることは、体の寿命がきたことを意味し、魂は生きていると考えます。あの世で天国に行くか地獄に行くかの審判を受けるんですね。万が一にも、この世に戻れる、という審判がくだされたら、もとに戻れる体がほしい。それが土葬です。実際に魂が戻って復活したのがゾンビです(最近のゾンビドラマはほとんどがウイルスの影響ですが)。

10代の頃、キリスト教の友人に「なぜ日本は火葬するの?」と聞かれたことがあり、その頃は土葬も火葬も意味が分からず、教科書で読んだガンジス川の例を伝えました。「ヒンドゥー教は聖なるガンジス川に灰を流すよ。それが神聖だし、幸せなんだよ」と。「アメリカでの土葬も似ているよ。復活するかもという信仰だから魂が戻ってきたときに戻れる場所がないとね」とかえってきて、私は「やり方が違っても結局皆亡くなった人の幸せを願っているだな」と思った記憶があります。そして、滞在経験があるわりにそんなことも知らなかった自分、そして、日本のことさえも知らない自分がとても恥ずかしかったです。

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