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分詞構文の日本語への訳出の仕方

2019-03-24

Hi Fukuoka English Gymです。

分詞構文は英語でparticipial constructionと呼ばれています。participialはparticiple(分詞)を形容詞に変えた語です。participleはよくp.p.と表記される2つ目のpのことです。p.p.は「過去分詞」の略で past participleが本体。constructionは「構造・構文」という意味ですので、「分詞構文」は「(何らかの意味をもたせるために)分詞[doingやp.p.]を使ったセンテンス構造」のことを指します。

それではどういった意味があるのでしょうか。

まずは分詞構文の作り方から

前提:元となる形
 位接続詞 s'v', SV.

この時の従位接続詞はcommaまでで副詞のかたまりを作ります。副詞のかたまりの置く位置は自由度が比較的高いため、次のようにかたまりを移動することもできます。
SV 従位接続詞 s'v'
S, 従位接続詞 s'v', V

STEP 1 接続詞を消す

従位接続詞を消します。

STEP 2 s'を消す

s' = Sの場合は、s'を消去します。重複するどうでもよい情報は省略されたり代名詞に変えられたりするのが英語です。

STEP 3 v'をdoingへ

このdoingが分詞です。だから分詞構文です。

e.g.「彼は元カノを目にした時に、逃げた。」
When he saw his ex-girlfriend, he ran away.
↓
When he saw ➔Seeing his ex-girlfriend, he ran away.

分詞構文が採用される意味合い

① 英文としての「客観性・洗練性」を高める

上述した一連の作業をするには前提となる知識が必要となります。分詞構文を使えるライター = 一定のグラマーの知識レベルを持っている、ということ。つまり、英文としての洗練度が高まります。また、客観性を高めてより説得力を持たせるときにも使われます。

② 接続詞を消して「意味」を「ぼかす」

分詞構文は接続詞を消してできているため、読者にその解釈が委ねられます。意味はメイン部分(=主節)との関係で判断することになります。ライターがこの接続詞の意味合いはぼかしておきたい、という時に使われるんです。解釈は読者に委ねる、というのが①を高めてくれるとも言えます。

先程ご紹介した分詞構文の例文をみてみましょう。

 Seeing his ex-girlfriend, he ran away.

「彼は元カノを目にして、逃げた」
「彼は元カノを目にしたので、逃げた」

このように同じセンテンスなのに、「時」だったり「理由」だったりと自由に解釈ができます。これが分詞構文です。

分詞構文の訳出(和訳)

上述したとおり、訳出はコンテクストで決めればよいわけですので、事前に候補となる和訳を覚えておく必要はありません。ただし、日本人にとっては「〜して」「〜で」といったぼかした和訳が最も相性が良いと言われています。

リーディングにフル活用する分詞構文

1. ほとんどの場合副詞のかたまり

副詞のかまたりを作る従位接続詞が元となるセンテンスになっていることが多いため、副詞としての立ち位置だと認識しておくとよいでしょう。

2. 位置は自由

副詞のかたまりのため、位置は自由自在です。

位置
Doing ..., SV ---.【センテンス頭】
S, doing ..., V ---.【センテンス真ん中】
S V ---, doing ...【センテンス最後】

3. doingではない場合も

元のセンテンスによっては、doingではなく、p.p.(過去分詞)や形容詞となるケースもあります。また、名詞や副詞になってしまう場合も時にあります。

e.g.  p.p.になるケース
Since it is written in Japanese, it is a little bit difficult to understand.
↓
Being written in ...
↓さらに情報価値が低く、発音が短くなるBeingは省略される
Written in ...


「日本語で書かれているので、それはやや理解が難しいね。」

4. 情報構造と細かい訳出の違い(End-Focus)

英語にはEnd-Focusというルールがあり、読者に伝えたい情報は1センテンスの中で後ろの方に集中させよう、という暗黙の情報構造があります(他にもFront-Focus, Middle-Focusというルールもあります)。

分詞構文は副詞のかたまりだからこそ、置く位置は「頭」「中」「末」と自由であるものの、そのニュアンスは異なります。

頭や中に置くと、「補足」「(メインに対する)付帯」といったイメージ。だから、サラッと速読していきたい。一方、どこにでもおけるものをセンテンス末におく、というのはEnd-Focusのルールを意識している可能性が高いと言えます。

①Doing ..., SV ---.【センテンス頭】
②S, doing ..., V ---.【センテンス真ん中】
③S V ---, doing ...【センテンス最後】

情報の構造
①②は「補足」感が強く、速読対象にする。③はEnd-Focusを意識している可能性が高いため、精読対象にする。

訳出
①②
(上述したとおり)「〜して」「で」(で訳出してぼかす)
③ 
 1. 「①②と同じ訳出」 
 2. 「---。Sは〜する」【あえて切って情報を際立たせる / End-Focusを全面に演出】
 3. 「〜しながら、Sは---する」【①②と同様におまけであるケースも多い】

Examples:
①Seeing his ex-girlfriend, he ran away.
②He, seeing his ex-girlfriend, ran away.
③He ran away, seeing his ex-girlfriend. 

①「元カノを見て、彼は走り去った。」「元カノを見たので、彼は走り去った。」
②「彼は、元カノを見て、走り去った。」「彼は、元カノを見たので、走り去った。」
③ 1.「彼は走り去って、彼の元カノを見た。」2.「彼は走り去った。(その理由は)彼は元カノを見たのだ。」
  3.「彼は、元カノを見ながら、走り去った。」

今回ご紹介した例文では、③の訳出を①②と同で「〜して/〜で」にすると、意味が変わってしまいますね。やはりセンテンス末の分詞構文には違った意味合いが入るケースが多いため、訳出する際にはメイン(主節)を見つつ、国語力を使って適切な日本語を選ぶ必要がありますね。

細かく覚えたい人向けの日本で学習する分詞構文の意味

日本では次のような分類を学習します。参考までにです。

① 時 
② 理由 
③ 付帯状況(…しながら) 
④ 連続(~, そして…)
⑤ 条件(もし…なら)  
⑥ 譲歩(…だが) 

帰国子女のワタシは、この分類を初めて日本で学習した時に驚きました。繊細な日本語だからこそ細かく分類できる言語としての凄み。けれど英語ではそんなに細かく考えたことないぞ、という感覚。日英で違いを知るたびに言葉や文化の違いって本当に面白いなと感じました。

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