リスニング 共通テスト 大学受験

リスニングの解き方・先読みの方法【共通テスト・私立大・国公立大】

2020-12-26

TOEIC満点の日英バイリンガルが, 大学受験のリスニングの解き方をお教えします。共通テストのリスニングの解き方にも直結する方法です。

よくある疑問点

・先読みをいつするのか
・先読みをどうやってするのか
・設問だけ先読みするのか、選択肢まで先読みするのか
・リスニング時には何を重視して聞けばよいのか
・解き直しはしたほうがよい?同じ素材の反復って必要なのか

これらの疑問点に答えていきます。

今回はセンター試験の素材を使ったモデルを示していきます。

1. 共通テスト英語と解き方が重複するセンター試験を解いてみましょう

まずはセンター試験の問題を通して、リスニングの解き方の確認をしてみましょう。この後の解説を読んでいただければ、センター試験過去問が共通テスト対策にフル活用できることがお分かりいただけると思います。

2018センター・第1問・問4(対話文)

対話を聞いて以下の問に答えてください。

問4 What will the man do?
① Get a new model later
② Get a new model now
③ Get an old model later
④ Get an old model now

2018センター・第1問・問1(イラスト選択)

対話を聞いて質問の答えとして正しいイラストを選んでください。

2018センター・第3問・問16(対話文)

対話を聞いて質問の答えとして正しい選択肢を選んでください。

問16  What will the man find out about his neighbor?

① How long he has been a doctor
② What hospital he works at
③ When he started the volunteer work
④ Who he volunteers for

2018センター・第4問A・問20-22(モノローグ)

対話を聞き, 答えとして適切なものを選んでください。

この後解答の確認をしていきます。

2. 基本的な解答手順(先読み〜聞き方)

step
1
設問・選択肢の先読み

設問・選択肢を先読みする時に以下があれば, チェック。

1固有名詞
2数/時
3価値判断系(感情や何らかの評価を下している表現など)




■Example:

→「困らせる」「悩ませる」といった表現を集中して検索すれば該当箇所が割り出せます。

なお, ~ about 〇〇? の問いの場合は〇〇が必ずキーワードになる

■Example:

→ botherだと言える表現が出てきたら、cleaningの検索に全集中します。

step
2
選択肢をグループ化できないか or 共通項がないか

大部分の問題では選択肢に重複する項目や対立する項目があるように作問されています。

Example:

この時に全てに共通する(情報価値の低そうな)項目は無視してください。一気に削ぎ落とすことで、聞くべき情報を見える化するんです。選択肢を縦に見てみると気づきやすくなります。絞ることによりリスニング時の精度がより高まります。上記で言うと、Get a/anは無視しましょう。共通項がnewとoldとlaterとnowなので、これらをキーワードとして聞き取ります。さらに、newとold、laterとnowが対立しているため、頭の中で「新/旧」「今/後」と思いながら聞いていけばいいですね。

step
3
リスニング時

先読みで拾った情報をキーワードして検索しながらリスニングする

さらに以下の6ポイントはほとんどの場合解答の根拠を明示する標識になります。聞こえた時点で全集中モードにしましょう。

①  DM(Discourse Marker)
問題に絡むランキング 1位. 逆接DM
リスニングではなぜかbut直後に根拠が大量におかれるというシンプルな設定になっています。

② Oh 直後
重要情報の標識。毎年例外なく設問に絡んで登場する!

③ 重要情報の標識
(1)「実は」 Actually, In fact
(2) 主張表明(I think / I don’t think)

④ 感情表現
感情を表す形容詞・副詞・名詞など価値判断表現

⑤「特に」
In particular,  Especially
具体DM[Discourse Marker / 談話標識]だが, 限定された具体を置くため, 具体の中でも重要度高い。重要度の高さゆえに、解答根拠となることが多い

⑥ Insteadは直後が設問に関わる(重要な代替案提示)
Instead of A, Bなら, Bに!

<その他>
・提案Why don’t you ~?直後 = 解答に関わる
・疑問文=テーマ

step
4
本文 vs. 選択肢の検証(=パラフレーズ)

答えとなる選択肢は通常本文の根拠の文とのパラフレーズ(=言い換え)が起きます。

Example:
on sale → at discount
old → earlier

また、以下の5パターンでのパラフレーズが典型的な作問の型ですので頭にいれておきましょう。

1. 品詞変換
2. 類似表現へ
3. 全体-部分の入替
4. 肯定-否定の入替
5. 構造変換

パラフレーズの型の実例はこちらを参照してください:

先読みっていつするの?

[1]大問の説明アナウンスの間

1. 〜 1A問1「では始めます」まで「53
2. 1A終了 〜 1Bの問題スタート「では始めます」まで「30
3. 1B終了 ~ 2問題スタート「では始めます」まで「33
3. 2終了 〜 3の問題スタート「では始めます」まで「33
4. 3A終了 〜 4Aの問題スタート「では始めます」まで「25
5. 4Aの問1 〜 問2のスタート“Question no. 2” まで「17
6. 4A終了 〜 4Bの問題スタート「では始めます」まで「1分38
7. 4B終了 〜 5のアナウンス終了「〜流します」まで「46
その後, 「60」先読みのためのインターバル
→つまり, 第5問には約1分50秒くらいの先読み時間が確保できる
5問1スタート
8. 5問1終了 〜 5問2の問題スタート“Question no. 2”まで「50
9. 5問2終了 〜 6Aの問題スタート「では始めます」まで「1分7
10. 6A終了 〜 6Bの問題スタート「では始めます」まで「1分6

29:25で音声終了〜「解答をやめてください」で29:58

*「終了」は「音声終了」の意味です

[2]1回目で答えが出た場合, 2回目音声が流される間に次の設問, 選択肢を先読み
… 共通テストならば第1-2問で可能ですね
なお、1回目と2回目の音声のインターバル「7-8

音声再生合計時間は29m58s

ちなみに、センター試験では…

[1]大問の説明アナウンスの間
1.「4ページを開いてください」〜 問1スタートまで「20
2. 第1問終了 〜 第2問の問題スタートまで「30
3. 第2問終了 〜 第3問Aの問題スタートまで「40
4. 第3問A終了 〜 第3問Bの問題スタートまで「55
5. 第3問B終了 〜 第4問Aの問題スタートまで「55
6. 第4問A終了 〜 第4問Bの問題スタートまで「60

[2]1回目で答えが出た場合, 2回目音声が流される間に次の設問, 選択肢を先読み

3. 解答・解説・解き方の実例・聞き方の実例

① 2018センター・第1問・問4(対話文)解説

この問題で、削ぎ落とし・共通項・対立という作問方針が把握できます。

Script
W: Our shop recommends this new phone.
M: Is there anything cheaper?
W: The earlier model’s out of stock but will arrive soon. It’s half the price.
M: Could you hold one for me?

多くの問題で同じ表現/類似表現や同じ構造を使っている選択肢同士をグループ化できるようになっています。①②がnew ③④がold, ①③later ②④now という感じで印をつけます。これらをリスニング時のキーワードにすることができるため, 「新旧」と「後か今」に焦点を当てて聞けばOKなわけです。Getなんてそぎ落とせばよいんです。設問リード文で得た情報を待ち伏せて聞き取るというのが一般的な方法ですが, 作問者は選択肢で得た情報を待ち伏せて聞き取ってほしいというねらいもこめて作問しています。だから選択肢の先読みが◎。ちなみに, 2項対立されている選択肢は先に登場したもののほうが誤りになるような設定をすることが圧倒的に多いため, もし先にnewが聞こえたら③④が答えかも?!と思うことも可能。

答えは③:earlierold, holdlaterにかわっています

Translation
女性
:当店のお薦めはこの新型の電話です。
男性:もっと安いのはありますか
女性:旧機種は品切れですが,すぐに入荷します。それは半額です。
男性: 1台とりおきしておいてもらえますか。

②2018センター・第1問・問1(イラスト選択)

この問題では、イラストの先読み・解答根拠が後続することを示す標識を確認することができます。

①②男女 vs. ③④女、そして、①③木々vs. ②④高層ビル がそれぞれ共通項で対立しています。
→「男・女」「木」「ビル」と思いながらリスニングをする。全て聞き取れなくても答えが出せます。

<Script> 答え:②
M: Look! This picture is from last spring.
W: What a beautiful garden!
M: Amazing, isn’t it? And the skyscrapers in the distance.
W: Uh-huh.By the way, who’s the woman beside you?

感情表現は解答根拠がくることを示す重要標識です。実際にAmazing直後に解答根拠skyscrapers(高層ビル)がおかれていますね。

Translation
男性:ほら! これが去年の春の写真だ。
女性:なんて美しい庭なのかしら!
男性:すばらしいだろう? そして高層ビルが遠くに見える。
女性:ええ。ところで,あなたの隣の女性は誰?

2018センター・第3問・問16(対話文)

この問題では、共通項と対立、解答根拠がおかれる重要情報の標識を把握できます。

パッと見で共通項は①②doctorとhospital:病院系 ③④volunteer。「病院系」と「ボランティア」に集中して聞く。またリード文にaboutがある場合は直後が必ずキーワードになるため, his neighborは絶対聞く。その上で①②③④冒頭の疑問詞が全て対立していますので、おそらく病院かボランティアかの判断ができたあとに、疑問詞の根拠がくるだろうと想定しておきます。

<Script> 答えは③
W: Did you do the homework about interviewing someone you admire?
M: Yes. Who did you interview?
W: My aunt. She’s a doctor. How about you?
M: My neighbor. He volunteers at an animal shelter.
W: Good for him! How long has he been doing that?
M: Oh, I’ll have to ask him.

→neighbor直後にvolunteersとあるため, ③④か決定。Goodという感情表現で直後に答えがくることを想定して聞くと、How longが登場します。How longが③のwhenのことだと判断できれば③が答えで決定。さらに最後にOhが出てくるため, I’ll have to ask him.を聞き取る。askだからたずねる内容が何かを特定する。直前にHow longとあることを思い出せれば, ③のWhenが選べる。

Translation
女性:尊敬する人にインタビューするっていう宿題はやった?
男性:うん。君は誰にインタビューしたの?
女性:おばさんよ。医者なの。あなたは?
男性:近所の人だよ。動物保護施設でボランティアをしてるんだ。
女性:それはすばらしいわ! その人はボランティアを始めてからどれくらいになるの?
男性:ああ,彼に聞かなきゃ。

2018センター・第4問A・問20-22(モノローグ)

最後はモノローグです。総合的な大学受験リスニングのパターンが把握できる素材です。

Script
When I was an exchange student in Japan over 20 years ago, I lived in a dormitory. It was an unforgettable, transforming experience. Several things bothered me during that time, though. Learning Japanese, performing dorm duties, and obeying dorm rules were especially troublesome. For example, there was a curfew, which meant we had to return no later than 10 in the evening. One of the duties was cleaning the floors and the bathroom. I wouldn’t have minded, but <問20> it had to be done before everyone else got up. Telephone duty was another annoying responsibility. Mobile phones weren’t available back then. Amazingly, the only phone was on the first floor, and we took turns answering it. I knew having a phone in each room was too costly, but <問21>surely a phone on each floor would’ve been reasonable. Many of these duties and rules felt like burdens to me. Although it was a huge challenge communicating in a foreign language and dealing with these obstacles, it turned out to be beneficial for me. It forced me to improve my language ability and adapt very quickly. I realize now that <問22> overcoming these difficulties helped me grow up and become a more responsible person.

問20は、botherとcleaningをキーワードにします。聞いていくと、botheredが登場した後、especially直後でtroublesomeにパラフレーズされます。その後、キーワードとなるcleaningが登場するため集中して聞いていると、butが登場するため、it had to be done before everyone else got upを聞き取ります。got upが④のwaking upにパラフレーズされていることに気づいて確定させます。

問21は、Mobile phones vs. Phonesと思って聞きます。さらに、③④はroomとfloorが違いますので、この2つもキーワードにします。聞いていくと、Amazingly直前でMobile Phonesがなかったことが語られ、直後ではthe only phone was on the first floorとあるため、①②ではなく③④のPhonesで確定します。あとは room vs. floorと思い聞く。すると、根拠の標識butが登場します。根拠となるsurely a phone - の文には仮定法さえも使われておりかなり重要度が高くなっているのが分かります。そこにfloorがあるため④で確定。

問22のように体験談のタイトル選択は、通常結末/結論で明示されます。Readingでも、物語文や個人のエピソードなどの体験談系長文では、筆者の言いたいことは結末に教訓や学びとして登場し、そこに全てが凝縮されます。したがってタイトルの根拠とすればいいんです。なお、その際の定番はI realizeやI leanedです。今回はI realizeに加えて、強調表現のnowがありますので最終文が根拠と判断します。grow upやresponsibleが③のmaturedのパラフレーズだと気づき③で確定させます。

 Translation
20 年以上前,私が交換留学生で日本にいたとき,私は学生寮で暮らしていました。それは忘れられない,人生を変える経験でした。でも,その間に困ったことがいくつかありました。日本語を学び,寮の役割分担を果たし, 寮の規則に従うことは,特に厄介でした。たとえば,門限というものがあり,夜 10 時までには戻らなければならなかったのです。役割分担の 1 つに,床と風呂の掃除がありました。嫌ではなかったのですが,他の全員が起床する前にやらなければならなかったのです。電話番もまた別の面倒な役割でした。その頃は携帯電話はありませんでした。驚くべきことに,電話は 1 階にたった 1 台しかなく,我々は交代で電話番をしました。各部屋に1台電話を置くのは費用がかかりすぎるとはわかっていましたが,各階に 1 台置くくらいであれば,きっとそれほど高くつかなかったでしょう。私にはこれらの義務や規則の多くは重荷のように感じられました。外国語でコミュニケーションをとってこれらの障害に対処することは大きな難題でしたが,それは結局私のためになりました。 それによって,私は言語能力を改善し,非常に早く適応せざるをえなかったのです。私は今,これらの困難に打ち勝つことが,私が成長してより責任感のある人間になるのに役立ったと実感しています。

4. 日々の学習法

1. リスニング素材の音読 or シャドーイングは毎日のルーティンに

リスニングしたものの中でこれはものにしたいと思うものは, 問題を根拠込みで解けるようにする → Scriptを音声面・内容面で分析する → 音読(20~30回)をする → シャドーイング(何回でも)をする。

当然ですが、毎日音を聞く(=Listening)作業は必ずしましょう。
何があっても1日10 minを最低ラインとしましょう。

*シャドーイングで仕上げると効果絶大
*音読は回数をこなすごとにスピードを速くする(リスニング音源の1.2倍速くらいを目標に。WPMなら160を目指して。)速くしても内容がすっと入ってくるように。

WPMについて:

2. 共通テスト Listening 対策に使う素材は?

1. 共通テスト試行問題
2. 予想問題集
3. センター試験過去問

センター試験は形式は異なる問題が多いものの、同じ解き方を利用することができます。TOEIC満点者の視点から見ても、積極的に活用すべきだと考えます。

3.  Reading向け教材も音読

音源はないものでも、しっかり理解できる読解教材も音読をしっかりこなしましょう。

4.  反復を再重視する

リスニングを得意にする最大のコツは反復学習です。同じ素材を徹底的に聞き込み, 音読しまくり, シャドーイングでしあげてください。伸び悩む学習者の大半はこの反復が欠けています。

ただし, 入試直前1-2ヶ月はアウトプット量を増やしていくことでの伸びが期待できますので、新しい問題もどんどん解く、しかし、常に同じ素材の反復学習はできているという並行方式で進めるのがおすすめです。

間違えたものは、問題を改めて解いてみるという解き直しもしっかりこなしましょう。

また、移動時間などにリスニングできるように、そういった時間に聞く音源を決めておきましょう。

入試直前の受験生にオススメ

  1. まずは試行問題第2回を完全分析することをオススメします
    …解き方, 根拠, パラフレーズ, 音声変化, 内容など全ての面で
    …曖昧だった大問を徹底反復の対象へ
  2. 普段から倍速で聞いておくと処理力が上がり本番で遅く聞こえます*スマホAppではAudipoが音声スピード調整が快適です
    *Akahon.netでも倍速でストリーミングできます
  3. 同じ素材の音読/シャドーイングが飽きたら,
    (1)スピードを上げる  (2)WPMで目標設定をしてゲーム性を持たせる
    (3)記録をとって見える化

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