学習

やる気・集中力の持続法

2018-08-20

この記事を書いている人:岡田 直也 (The NY Press, Inc.)
岡田

 

学習継続をするのは誰にとっても難しいことで, やる気や集中力が持続しない, という現象は大きな問題です。ですが, 学習効果は, 継続をすることで初めて現れ始めます。そこで継続するための土台となる, やる気や集中力を持続するための基本的技術を紹介します。

 

ポイント

① プレッシャーで負荷をかける

(1) タイムプレッシャー(時間の制約)

人間は何らかの制約がかかるとエンジンがかかり, 大きな集中力を生み出します。制約のかけ方の1つが, "タイムプレッシャー"です。簡単に言えば, 学習する際に制限時間, または, 目標時間を設定してあげるということです。「明日単語テストをするから覚えてきて~」と言われるのと, 「今から30分後に単語テストするから覚えて~」と言われるのとでは, 後者の方が圧倒的に集中して学習に取り組めるはずです。それは時間制約の負荷がよりかかっているからです。"OO時までに△△をする"といった制約をかけることで格段に集中力がUPします。

(2) TO-DO LISTによる負荷(すべきことの制限)

(1)と併せて必ずすべきなのが, TO-DO LISTの作成です。例えば, 今日が休日で学習にあてられるのが, 午前9時から午後17時までとすると, まず1日の中でしたいことをざっと"書き出し"ます。裏紙にでも, 手帳でも, ノートでも何でも構いません。人間は90パーセント近くの情報を視覚から得ているため, 書き出すことでヴィジュアル化され, よりやるべきことに対する意識と記憶が明確になり, 効率が格段に上がります。単に頭の中でOOをしようと考えるよりも効率性はまるで変わります(TO-DOと関係ないですが, 何か悩みや不安がある場合も書き出してみてください。漠然としたもやもやが書くことで晴れる場合は多いです)。次に, 午前中はAとB, 午後はCとDとEという風にざっくりと, "いつ何を終わらせたいのか"を書き込みをし整理をします。学習を始める前に, さらに細分化してもよいでしょう。午前9時にAを始めるとすると, まずは60分間Aの△~◇までは終わらせる, というような感じに。

もし同じ時間に複数のことをするなら(例えば, 9時から~11時まで, AとBをする), 難しいものと簡単なものを混ぜてください。脳の性質上, 織り交ぜることで集中力が高まりやすくなります。細かく設定しすぎると, 設定をすること自体に時間がかかるし, うまくいかなかった場合にモチベーションが下がるため, ざっくりで構いません。

一つのTO-DOが終わるごとに,色ペンで箇条書きにしたその項目を消して下さい。達成感を得られます。実は達成感って超重要です。人間は何かを成し遂げた時に脳内でドーパミン(快楽物質)を大量分泌し,ドーパミンのおかげで,次もまた頑張るぞ!という気持ちになれます。消す行為が達成感を味わえる仕掛けになるわけです。教え子の中でよく伸びる学生はほぼTO-DOリスト作成と消す作業はしています。

 

ポイント

② 最低値を決めておく(メンタル維持のための予防線)

何かを計画をしてうまくいかなかった場合, 自己嫌悪に落ちることがあります。毎日英単語を50個する, とか, 毎日オンライン英会話30分を続けるとか。結局, 3日間くらいで勢いはなくなり, やめてしまう。いわゆる三日坊主。そんな経験は誰にでもあります。ボクも日々その繰り返しです。ここで覚えておいてほしいのが, 人間はそもそも3日坊主だ, ということです。人間の脳は同じことを繰り返すと, マンネリ化をし始め, 最初に始めたときの新鮮な気持ちは薄れていきます。3日経てば, 1日目の勢いは薄れて当然なのです。だから, 3日継続できたことは素晴らしいことです。1日休んで, 気分を一新して, また始めればよいのです。

こういう思考方法ができると, 精神的ダメージが減るため, やる気を維持しやすくなります学習計画を立てるときは最低値を決めておいてください。その日の体調ややる気, 課題の難易度によっては計画通りに進まないことのほうが実は多いものです。例えば, "今日はオンライン英会話を30分受講する" という目標を決めた場合には, 実現しなかったことを想定して, "受講できなかった場合はテキストの音読を3回すればよしとする"といった最低限のノルマを決めておくのです。 精神的ダメージは激減します。

日常生活でこれと似たものが, 電車・バスなどの待ち時間です。乗りたい電車が9:00発なのに, 若干の遅延で9:04にきたとします。9:00に電車が来ると思っているから, 4分の遅延はイライラの対象になります。特に, 日本の電車は時間きっかりなので, 余計にそう感じるはずです。最初から, "5分くらいは遅延するものだろ"という欧米的思考ができる人にとっては, 遅延したとしても, 精神的ダメージは何もないはずです。発想方法を柔軟にすれば,  メンタル維持は難しくないことだと思います。考え方の視野を広げましょう。

 

ポイント

③ 他人を巻き込む(感情の利用)

人間は"感情"を伴うことはより記憶が強固になります。授業中に問題の答えを求められて答えられなかったという経験は誰にでもあるでしょう。そして, そういう記憶は意外なほどに残っているものです。それは「恥ずかしい」という気持ちが伴っていたからです。失恋も「つらい」「相手を悲しませているかも」といった感情が伴うために記憶に残ります。このことから, 学習は感情を伴うような工夫を施せばよいことが分かります。手っ取り早いのが他人を利用することです。以下数点あげてみます。

(1) 友人同士で出し合う

間違えたら恥ずかしいという気持ちが湧くため, 事前準備をきっちりするし, 間違えたら恥ずかしいという気持ちが起き, 記憶に残ります。

(2) ライバルを作る

競う相手がいれば格段にやる気が高まります。リアルな友人や同僚でもいいでしょうし, SNS上で同じ目標を持った人と協力して競い合うのもよいでしょう。ボクがおすすめするのは, 競う相手と学習範囲をかぶらせることです、"今日は単語帳の201-400までをしよう"と協定を結んで, 1日の終わりに互いに出し合う。同じ時間同じ分量なのに, ライバルのほうが覚えがよかったりして, 客観的に自分の記憶度や定着度も把握でき, よりモチベーションがUPします。クラスメートを勝手にライバルにして頑張る, というのも悪くないと思います。

(3) 先生を利用する

もし学校に通っていれば, 教師・講師・スタッフ, 通っていなければ, 同僚や家族に問題を出してもらってください。相手が教え手であれば, あなたの進捗状況も把握してもらえるので, 継続すれば, その時に最も適した問題の出し方をしてくれるようになります。わからなければ, その場で聞けます。同僚や家族であれば, あなたが学習している知識をあまり知らない人に出してもらいましょう。答えを言うときに解説もしてください。知識のない相手が理解できれば, それだけあなたの理解度が高いと判断できます。

 

ポイント

④ 順番・時間・場所を変える(マンネリ化防止)

人間は同じサイクルが一定の期間続くと, 新鮮な気持ちが失われてしまい, モチベーションもおのずと低くなります。そういったときは, 次の2つがオススメです。

(1) 順番を変える

いつも学習したいメインから取り組むなら, 最初は復習から入る。

(2) いつもの学習時間をずらす

夜0時まで学習するタイプの人なら, 1時間早く寝て, 朝1時間早く起きる。

(3) 場所を変える

学生なら自習室を変えてみる, 社会人なら自宅からカフェ, 図書館利用に切り替えてみる。ちなみに, いつもパーフェクトな環境で勉強をしている人は, 時にはそうではない場所も選択してください。大学受験でも視覚試験でも本番はちょっとした音・騒音が気になり, 集中力が奪われます。カフェなどごみごみした場所であえて勉強することで耐性をつくっておくのです。

 

ポイント

⑤ 儀式(ルーティン)

学習を始める時には何等かルーティンを持つようにしておくと, 自動的に集中力UPの方向性へ向かっていけます。音読から始める, 復習から始める, 学習計画表をざっと眺めてから始める, 手帳を開いてスケジュール確認してから始める, 音楽を聴いてから始める, YouTubeを見てから始める, ファッション誌を数ページ見てから始める, 本を少し読んでから始める, ストレッチしてから始める, 散歩した後に始める・・・など。おなじみの儀式めいたものがあると, 気分が自然とのります。

 

ポイント

⑥ 移動時間・待ち時間の有効利用

(1) 電車等の移動時間

電車等の交通機関は終着点, つまり, 終わりとなる時間が必ず決まっています。実はこの締め切り時間が決まっている, というのが脳の性質上とても良い。①(1)でお話ししたタイムプレッシャー負荷がかかっているからです。だから, 恐ろしいほどに集中力がUPします。ボクは新幹線通勤をしていますが, 仕事を集中して片づけたい場合にあえて在来線に乗る場合があります。かかる時間は4倍くらいになってしまうのですが, 実時間は決まっているので, 毎回素晴らしいペースで仕事が進みます。スマホゲーム, SNSはちょっともったいない気がします。

(2) 待ち時間

待ち時間は"待たされている"という否定的な感情を持つことが多いですが, こちらもタイムプレッシャー負荷がかかっているので, 集中した作業ができます。例えば, 病院の待ち時間。診察まで30分待ちとなっていると, 内心ラッキーと思うようにしています。30分という"制約"があるため, この待ち時間恐ろしいほど集中できるのです。電車・バスの待ち時間もそうです。遅延3分であれば, 3分という制約があるため, この3分学習にあてるだけでも, 本来の6分くらいの集中力が生み出されているかもしれません。

ポイント

⑦ 集中力が切れたら休憩する

これは当たり前のことですが, 休憩を適度に入れてください。集中状態にあるときは, 交換神経が活発に働き, 緊張状態にあります。研ぎ澄まされる分, 脳もかなり疲れます。休憩することで副交感神経(=リラックス状態)を働かせて, 充電をする必要があります。また, 人間の集中力の持続時間は15~20分と言われています。60分をワンセットとして学習をするときに, 当然途中途中で集中力は切れるものです。この時にモチベーションが下がってしまう思考方法が, "60分頑張ろうっと思っていたのに, 15分で集中力が切れた"とか"結局スマホいじって終わってしまった"というものです。これを改善するのにオススメなのが, 60分の学習をするときには, 15分学習+数分休憩をワンセットとして, 4回こなす, というものです。最終的に, 60分の学習をこなせます。実は, 人間はある目標を成し遂げようとするときに, そこにたどり着くための小目標を立てると, 集中しやすく, 達成感を多く味わえるため, モチベーションを維持しやすくなる, と言われています。これは"スモールステップ"と言われる手法です。15分学習+数分休憩×4セットにも少なからずスモールステップの原理は盛り込まれています。

 

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