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大学受験予備校の模擬試験に質の差はある?【模擬試験作成者がお答えします】

2022-12-22

Hey guys. 代表Okadaです。

今年度の模擬試験の作成(=厳密には校了)、それに伴う解説動画の作成の仕事が本日全て終わりました。模擬試験は西日本の受験生中心のものが3本、全国の受験生が受験するものが4本。

大学入試向けの模擬試験の作成するようになって15年になります。振り返るとベテランの域に達してきたな、と思います。素材の選定スピードも早くなってきたし、作問の精度も10年前と比べてまるで違うレベルになると自負しています。実際の大学入試問題の作成にも携わるという経験もしました。大学受験予備校のテキストブックの作成担当としても同じく熟練者になった実感があって、こちらも初期の頃と比べるとレッスン同士のつながりだけじゃなく、英語全体を俯瞰した選定・配置までしっかり意識できるようになりました。

さて、本日は大学受験予備校の模擬試験の質って予備校によって差があるか、というトピックに、作成者側という当事者として情報をシェアします。

同じ目的の模試での評価の差

私が今講義を提供しに行っている予備校では比較的規模の大きな模擬試験が年間で設定されています。特別講師としてはお世話になっている高校ではベネッセ主催の模擬試験と河合塾の「全統...」が採用されています。

そこで、受講生/生徒からよく受けるコメントや質問があるんです。

〇〇予備校の模試は質が悪い
〇〇模試は簡単すぎるから受けなくてよいか

特に、準大手予備校が作成する模試と、最大手予備校が作成する模試で、目的が重複する場合、例えば、広大オープンとか共通テスト向けの模試とか、「やっぱり〇〇塾(=最大手)のは質がよかった」「〇〇予備校(=準大手)のは難易度も解説も分かりづらい」というコメントが多くなります。ブランドとして最大手の方が安心感があるというラベル付けがされるんですね。

予備校間での質に差はない:作成者が同じ場合もある

ですが、作成者側としての当事者からみると、実際には質に大きな差はありません。

実は、私Okadaは一時期、同時期で、最大手予備校の模擬試験、準大手予備校の模擬試験 の両方の作成チームに所属していた時期があります。

ある年、同時期に開催される同じ目的の模試が偶然にも同じ月に開催されたんです。

どちらもOkada作成です(もちろん問題の検討者の数やレベルは異なりますので、私が作った問題や解説に対しての検討側の修正レベルで質面は多少左右されるかもしれません)。

結果的に、どちらの模試も受験した受講生たちにインタビューしてみると、やはり「大手の問題の方が安定感があった」とポジティブな意見の方が優勢でした。私個人としては、準大手の問題の方が修正に時間もかけて質面は圧倒的によいと感じていたので、びっくりしたんです。

これは模試だけじゃなく、テキストブックや講師の質も同じことがあてはまると思います。最大手の河合塾に在籍していた時期は、準大手の予備校の生徒から「やっぱり授業の質でいったら河合に行けばよかったかな〜」というコメントを受けたこともあります。同じレッスンを河合塾で私から受けたとしたらまた印象が変わっていたかもしれません。

実際に差を生んでいるのは採点の正確性と成績評価

記述式の採点の正確性は大手に軍配

記述式の模擬試験に関しては、大手と準大手で決定的な違いがあります。後者では、学生バイトさん(=概ね医学部)が採点を担うことが多いんです。所属する講師たちには採点する時間なんていないし、外部に委託するにはコストもかかる。

バイトさんたちは非常に優秀ですし、忙しい合間で真摯に採点をしてくれています。採点のブレがでないように、作成する側は共通の採点マニュアルを精巧に作成します。区分点や許容範囲まで事細かに、でもそれが採点時間を増やしてしまわないように、丁寧に作成するんです。けれど、どうしてもブレが出てきてしまうんです。以前、模試の採点に不満を持った受講生に何が弱いのか採点済み答案で確認してほしいと依頼され、確認してみたところ、エッセイライティングの採点だけでも、私が採点した場合10点以上の差(=加算)が生まれました。全体では25点程度の差が起こりました。

このあたりの採点の甘さが「信頼が持てない」-->「質が悪い」といったところにつながっているのではないでしょうか。逆に言えば、マーク形式にはこの現象は起きないため、準大手の模試だから...というバイアスが無意識にかかっているように感じます。

成績評価は母数もデータ数も違う

準大手予備校の場合、受験者の母数が違います。さらに蓄積している過去のデータ量が違いますから、判定を算出した場合にどうしても甘く,あるいは、厳しく判定されてしまうことがあります。「オレのレベルで成績上位者に名前載るの?」ということもあるでしょう。ここについては、受験校の決定など大事な局面では、私も大手に信頼感をおきますしアドバイスの材料にすると思います。

ラベルではなく中身で判断できる人になろう

このように、記述や成績評価を除いては、模擬試験の質は概ね同じ、むしろ、準大手の方がよくない?!と感じさせられることすらあります。

私たちは物事をラベルというバイアスで判断をすることが多いです。実際私もそうです。同じ価格の商品で、有名ブランドとそうでないものの場合、間違いなく前者を選ぶと思います。これも偏見ですが、同じような商品を日本サイトと中国サイトどちらで買う?となれば、日本企業を選択すると思います。

けれど、今回の模試のように、ラベルは違えど、本質的な部分は変わらない、むしろ、信頼度が逆転している、という場合もあります。

このことに気付かない場合、地位の低いラベルの方をないがしろにするわけですから、本来きっちり本質を見抜けていた場合に得られたはずの学習機会や成長の原動力となるものを安々と手離してしまうことになります。

大切なのは、私たちにはどうしてもバイアスというものがかかってしまう、ということを認識しておくことです。そして、外見だけに踊らされず、中身にもしっかりと目を向けるようにする。

これは世の中全般にもあてはまります。例えば、ジェンダー問題。いつも「男」か「女」かというラベルや態度をもって人と接したり物事を考えたりする場合、LGBTQ people当事者の気持ちを知らずしらずのうちに不快にさせたり生きづらくさせてしまうこともあるかもしれません。外見ではなく、その人の中身を見ることが、もっと多く人が幸せに暮らしを実現できるようになるんじゃないかな、と最近思います。特に現代の多様な世の中では、なおさら、枠組みをいったんとっぱらって物事を見る、という視点は忘れてはいけないなと感じます。

赤ワインが好きな人もいれば白ワインが好きな人もいます。ボトルについているブランドのラベルではなくって、中身がなにかで物事を判断できる人になりたいと思います。

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