共通テスト

共通テスト英語【時間配分・解き方・順番・速読法】

2020-08-26

Update: 09/30 2021

こちらの記事の最新版(2022年度受験者向け)は↓

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TOEIC満点の日英バイリンガルが, 大学入学共通テストの配点, 設問構成と特徴, 分量, 時間配分, 解く順番,  基本解答手順・解き方(設問を読むタイミング・設問のキーワードの検索法 等)をご紹介します。また, 選択肢のグループ化というちょっとした裏技, 全て読むのか読まないのかといった疑問点への解答も記載します。

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問ごとの出題意図と解き方はこちらの記事をご活用ください:

リスニングについてはこちらの記事をご活用ください:

 

各大問の解き方一覧はこちらをご活用ください。各大問、問いごとの出題意図とそれに対する解き方を簡潔にまとめております(直前期の最終チェックにもおすすめです):

 

1. 共通テスト英語 VS.  センター英語

センター試験と異なる点から確認していきましょう。

① 配点

リスニングの比重が大幅にUPしていることが分かります。当然, リスニング対策にかける時間は倍以上確保する必要があるでしょう。さらに, 筆記ではReading Partのみの構成になったことから, リスニング対策として音読・シャドーイングを確実にこなすことで読解スピードUPも達成できるでしょう。

② 設問構成(Reading)

 

全体の構成

大問 小問 配点
(大問)
配点
(小問)
配点
(1問)
内容
1 A 10 4 2 広告・告知関係

【広告・告知・メモ関係】

B 6
2 A 20 10 2 短い説明文(記事・レシピなど)

【事実と意見の識別】

B 10
3 A 10 4 2 短い物語(ブログや記事)

【体験談系】

B 6
4 16 3

(1問4)

複数の記事・図表/グラフ

【記事内容をポスターにまとめる】

5 20 5 伝記(物語系)

【著名人の生涯】

6 A 24 12 3 社会的話題の長文

【評論文】

B 12

 

共通テスト第2回試行問題Download(PDF)

 

読む分量の多さ

文法系がなくなった結果と言えなくもないですが, 読む量が多いため, 速読ができるかどうかが得点率に直結します。

 

fact vs. opinion や横断型問題, 何の具体例か問題, ポスター穴埋め問題

fact vs. opinionは主観文と客観文の識別が要求されます。横断型は答えが1箇所で決まらず, 2箇所みなければなりません。何の具体例かを問う問題は主張文や主観文の見極めが必須です。ポスター作成問題は, ポスターの■に書かれる内容をどう活用するか, さらには選択肢の根拠が順不同に本文に散りばめられていることも知っておく必要があります。センター試験では1箇所で解けていたものが本文全体を検索しなければいけないように設定されています。落ち着いて解けばむしろセンター試験より易しい問題が多いのですが, 時間とのたたかいなので, 限られた時間の中で高い精度の検索と選択肢検証が必要になります。また, この新タイプの問題+明確に本文に対応する文がない問題・あいまいな言い換えがなされている問題 で思考力・判断力が問われていると言えます。

 

設問・選択肢の順番

第6問を除いて本文の順番と設問順番が連動していないものが多数です。1つの問の選択肢の根拠が本文全体に順不同で散りばめられていたりするという作問方針がある。これはセンター試験との最大の違いかもしれません。順番通りに解いていればよいというわけじゃないということですね。

 

 スキャニング(情報検索)問題の量が増加

キーワードを決める → 本文を検索する という情報検索問題が圧倒的に多くなりました。現代社会では, 必要な情報を拾い読みするスキャニング力が求められています。情報検索問題が増えた = 現代社会で求められる能力を問いたいということでしょう。素早く読む・じっくり読む の読み分け能力が必須と言えます。

 

 

2. 時間配分例

次のような時間配分がオススメです。

見直し4分を想定したペース

大問 小問 配点
(大問)
配点
(小問)
配点
(1問)
時間配分目安
(min)
1 A 10 4 2 8
B 6
2 A 20 10 2 13
B 10
3 A 10 4 2 12
B 6
4 16 3

(1問4)

10
5 20 5 15
6 A 24 12 3 18
B 12

 

得意・不得意により人によって時間配分は変わりますのであくまでも参考にしましょう。実際に試行問題1回目, 2回目を解いてみることで時間把握をしましょう。第4問が苦手な人はそこを多めに。逆に第6問の評論文はロジック(論理)が得意な人にとっては速読できる箇所が多いため, スキャニング問題としての性質が強いので18分もいらないという場合もあるでしょう。上記や様々なアドバイスを参考にして自分オリジナルの時間配分を決定しましょう。

筆者(TOEIC満点取得者)の個人的意見としては、前半よりも英文レベルが高い後半Part(4-6)の中でも第6問は設問が易しい。リード文の情報のありかさえ特定できれば、あっさりと解けるため、2つ合わせて18分もかからないかもしれません。逆に最難関は第5問です。英文のレベルは伝記・史実の得意不得意によって見え方が変わるでしょうが、標準的な難易度です。しかし, 設問を解くのにとにかく時間がかかる。◯✗の検証にかなりの時間を要するでしょう。時間は多めに設定しましょう(ただしそれにより他の大問が解けなかったということがないように戦略を練ることをオススメします)。

 

解く順番はどうする?

人それぞれ戦略や相性があります。

集中力が高いうちに, 1問のポイントの大きい第5問〜が相性が良い人もいれば, 英検準2級レベルの易しめ第1~3問で頭を働かせてから, 後半で勝負するという手もあるでしょう。

TOEIC満点者の視点からすると, 受験生側のパフォーマンスを配慮してセンター試験と同様階段上にレベルが上がるように作問されているような印象を持ちます。徐々にWarm Up していき, 後半戦でパフォーマンスが上がるような作問イメージがあります。

いずれにせよ、各大問の目標時間の設定は行っておきましょう。そして悩んだときでも最大何分くらいまで引き伸ばすかも検討しておきましょう。

 

3. 基本解答手順

① 全体大問共通

第1問Aを参考に確認していきましょう。

step
1
本文の前にある英文を読んでシチュエーションの確認

①をざっと読んでシチュエーションを確認します。どのような話が展開されるのかがざっくり把握できます。

 

step
2
タイトル先読み

・タイトルがあればタイトルを先読み
・グラフがあればグラフのタイトルを先読み
・複数の記事の場合は両方のタイトルを先読み
・手紙やメモであれば, タイトル(件名)と差出人を先読み

今回の第1問Aでは難しいですが, 基本的にタイトルで全体の内容が予想できます。今回は先読みしても得られる情報はシチュエーションの文とほとんど同じですね。

 

step
3
設問を先読みし, キーワードの決定

作問者は受験生が本文のどこに答えの根拠があるか把握できるように, 検索のためのキーワードを残します。もちろん, 本文を全て読み切ってから, 初めて設問・選択肢をチェックをし記憶を頼りに◯✗の判定をしてもOKですが, 共通テストの作問上の意図としては, 先読み→キーワード決定→本文検索→検証 という流れが想定されていると考えられます。

 

作問者がよく残すキーワード

[1]固有名詞
[2]数や時(またはそれらに置き換えができるもの 例. young, oldなど)
[3]価値判断(=訳したら何らかの評価をしている表現:利害, 難易, 重要度, 好き嫌い, 感情など)
の3点が頻繁に残されます。

上記以外の場合
[4]動詞
[5]名詞
をキーワードにしてみる。動詞, 名詞の言い換えがある場合が多いため

 

実例【第6問B】

問1 The decline of wolves in Yellowstone National Park in the early 1900s resulted in [ 39 ].

1 a decrease in the number of hunters, which was good for the wolves
2 a decrease in the number of ranchers, which reduced the human population
3 an increase in the number of elk, which damaged the local ecosystem
4 an increase in the number of trees and plants, which helped elk to hide

問1 The decline of wolves in Yellowstone National Park in the early 1900s resulted in [ 39 ].

1 a decrease in the number of hunters, which was good for the wolves
2 a decrease in the number of ranchers, which reduced the human population
3 an increase in the number of elk, which damaged the local ecosystem
4 an increase in the number of trees and plants, which helped elk to hide

・わかりやすいのが, in the early 1990sですね。完全に数・時です。
・分かりづらいですが, declineは「数」の減少を示しますので, 減少の対象となるdecline of wolvesもキーワードにします。
・Yellowstone National Parkはすでにシチュエーション文に与えられているのでキーワードにはしません。


 

さて, 今回は…

want やwould likeは「〜したい」の意味ですから, 「価値判断」(感情)を表しています。したがって, 「したい内容」をキーワードにします。問1だとask Yasumin, 問2だとinviteです。

 

step
4
キーワード検索

 

関係ないところは速読→キーワードが登場したらスピードを落とし精読, という流れを踏むと, 全体としての時間節約につながります。共通テスト英語は時間との戦いですので, この読み分けが絶大な威力を発揮します

今回は, 問1が本文L4にask Yasumin, 問2のinviteがL8にinviteとありますから, その付近をじっくりと読み込みます。問1は which day is convenient for her to come to the partyが根拠です。問2はother studentsが根拠となります。ただ, それだけでは解けないので, other studentsが誰かを特定するために, I know some students ~ の文も読みます。また, 問2はAlsoで始まっている文が根拠となっており, 選択肢にalsoがあります。

通常, 設問の表現は言い換えられるものですが, 今回はどストレートにaskやinviteが発見できたので非常に易しい問題と考えられます。

 

step
5
迷ったらパラフレーズを検証

答えの選択肢は解答の根拠となる箇所の【言い換え(パラフレーズ)】がされます。迷った場合は丹念にパラフレーズの検証作業をしてください。

パラフレーズのパターン

類似表現へ変換
品詞変換
部分[具体]→全体[抽象] / 全体[抽象]→部分[具体]
④ 構造変換
  Ex. 能動→受動へ 受動→能動へ
⑤ 肯定と否定の入れ替え(反対語の否定)

試行問題の実例

本文 選択肢 パターン
business company 類似表現
successful success 品詞変換
at break time between classes 類似表現
全体[抽象]と部分[具体]
traditional dance
traditional food
traditional clothing
culture 部分[具体]と全体[抽象]
outside inside 肯定と否定の入替

*outsideは本文では仮定法と使われていたのを, 選択肢ではinsideと言い換えられています。真逆の語ですが, 言っていることは同じ選択肢になっています。

 

さて, 今回は・・・

問1 選択肢②
which day → when【類似表現】
come to → attend【類似表現】

問2 選択肢①
some → a few【類似表現】
from the tennis team → who don't belong to the English club【肯定否定の入れ替え】

 

おまけ①:効率を上げる選択肢の見方の裏技(グループ化)

リスニングではおなじみですが, リーディングでも選択肢をグループ化したり, 共通項を見つけることができる選択肢が多く設定されています。今回問1が早速例外にはなりますから, あくまでもテクニックだと思っておいてください。リスニングではこの作業は裏技でもなんでもなく基本的なものになりますので活用してください。

 

 

問2では選択肢は①②③の頭が全て「数」になっているので, グループと捉えることができます。この時④は仲間はずれなので, 答えになる可能性が低いという考え方ができます。さらに④だけMalaysiaという固有名詞が入っているのも不自然です。次に①②をみると, English clubという共通項があります。したがって, ①②を優先的に検証します。キーワードとなる周辺で, 「数」と"English club" に着目して読み込めばよいのです。なお, ②のallのように100%を表す表現(ついでに0%, 限定表現も)は誤りの可能性が高くなる選択肢です。ですから選択肢をチラ見た感じでは①が答えなのかなあ, という視点を持つこともできます。

 

おまけ②:全て読む vs. 読まない

全て読むのか, 必要な情報だけ検索してそれ以外は読まないのか, という疑問点は英語学習者であれば多く人が抱えている悩みでしょう。こればかりは人それぞれの読解力や国語力に依存しますので, 明確な解答はありませんが, 共通テスト英語については, 「バランス良く」だと思います。

「広告・告知・メモ」は全て読まなくても解けます。特に広告は必要な情報だけを抜き取る傾向が色濃いPartですので, 真剣に全て読みこむのは明らかに効率が悪く, 時間内に終わらない原因となります。

逆に第5問のような伝記の場合, 選択肢の順番が本文と連動しておらず解答根拠が本文全体に散らばっています。とばしとばしで読んで途中で内容を見失うなら, 最初から全て読んでしまったほうが早いです。

 

個人的な意見ですが, TOEIC満点者の視点からすると, 全て読んでも間に合うくらいの速読力をつけてほしい。共通テストは高校の基礎レベルを試す問題です。英検で言っても, 準2級〜2級程度ですので, 超難関というわけでもありません。高校3年生なら十分に時間内に終わらせることのできる基礎的な英文ですので, 同じ素材の反復学習・音読(1素材20~30回が基本, 音源があればシャドーイングも)・制限時間を設けた演習量の確保 で速読力をつけていくのが近道と言えるでしょう。

 

4.速読力はWPMを意識した音読で

速読力養成にはWPMというスピードの目標数値を設定して反復学習することがオススメです。

詳しくは

 

共通テスト各Partの語数

共通テストの本文の語数一覧です。設問は無視して本文だけ読む際のスピード目標目安(秒数)も記載しています。黙読はWPM200, 音読はWPM160で設定しています。

*なお, 共通テストリスニングのWPM約140です。中堅〜準難関私立大を解き終えるのに必要なWPMは150, 難関私立大は170-と言われています。黙読のWPM200があまりにも苦しい場合はまずはWPM170を目指してください。計算はコチラ:https://fukuoka-englishgym.com/speedmeter-wpm

 

大問 小問 語数 黙読 音読
1 A 152 46 57
B 214 64
(1m04s)
80
(1m20s)
2 A 228 68
(1m08s)
86
(1m26s)
B 256 77
(1m17s)
96
(1m36s)
3 A 186 56 70
(1m10s)
B 307 92
(1m32s)
115
(1m55s)
4 498 149
(2m29s)
187
(3m07s)
5 532 160
(2m40s)
200
(3m20s)
6 A  529 159
(2m39s)
198
(3m18s)
B 481 144
(2m24s)
180
(3m)

 

速読, 速読と言われても自分がどの程度のスピードの持ち主なのか分かっていなければ, 目標となる数値がはっきりしていないのであれば, 頑張っていくためのモチベーションを維持するのは難しいことが多いものです。まずは, 現状把握のため時間を図って読んでみて, その後, 本文だけの黙読・音読練習を反復していく際に上記の時間数をクリアできることを目指しましょう。

 

第1問〜6問(問ごと)の解き方一覧

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