Fukuoka English Gym 代表の岡田です。
海外に倣い, 日本でも反転授業を採用する大学が急速に増えつつあります。少子高齢化も相まって, 今後は集団授業よりも少人数教育で手厚くインタラクティブなスタイルに変わっていくことが予想できます。先日文部科学省も少人数教育へのシフトの方針を打ち出しましたので, 益々一方向性授業→双方向性授業に切り替える学校が増えていくでしょう。
さて, 仕事柄, 高校で教員の皆様の授業をオブザーブさせていただいたり, 時には私自身も特別講義をすることが多いのですが, その中で思うことが
- 一方向性の授業スタイルを採用する学校がとても多い
- 英語の授業がほとんど(9割以上)日本語でされている
後者に関しては, 英語による言語活動を増やしたほうがSpeaking力が上がることがデータとして示されているので間違いなく, 英語中心で説明することが必要だと思います。9割以上英語で説明くらいでよいでしょう。
しかし, 現実問題としてはなかなか難しいなと実感しています。半年ほど前に, 進学校の高校2年生向けにReadingの特別レッスンをしにいきました。もちろん全て英語で説明する準備をしていきましたが, 90分の授業のうち最初の10分で心が折れてしまいました。中学2年生向けくらいのゆっくりとした英語で行ったのですが, 理解が追いついていない生徒が続出したのです。集中力が切れたころに活性化を図ろうとペアワークからのグループワークを試みるも, こちらも期待するほどの効果がえられませんでした。生徒に聞くと, 英語の授業は日本語が基本だし, アクティビティは日本人とALTのTT授業でも稀だとのこと。
All Englishの方針を生徒が理解できないからやめる, では本末転倒。日本語を基本として授業されている高校に訪問する際にどう対応していくかを模索中です。現場の先生方とお話をしていても, 英語で説明したいけれど, 中学から上がってきた時点でその下地ができていないため, どうしても難しい, と本当に試行錯誤されながら苦労されているようです。
さて, 前者のアクティブ・ラーニングの利点は何でしょう?
行動科学的な視点では・・・
1. 協同活動 = 協調性
多くはペアやグループワークを基本とします。したがって, 協同活動が必須となります。周りの生徒と協力しながら行っていくため, 協調性・コミュニケーション能力が身につきます。これは社会で成功するために必須の技能ですね。
2. 自発性・主体性
講義形式のように受け身では対処できないのがアクティブ・ラーニング型の授業スタイルです。自分から動かざるを得ないため, 自発性・主体性が育まれます。社会に出て指示待ち社員は成功しづらいと言われています。成功するための要素を養うことができるのですね。
3. 視野・考え方の幅が広がる = 問題解決能力
グループ活動の中では自分とは異なったタイプの人たちとのコミュニケーションが必要になっていきます。それは考え方の幅を大きく広げてくれます。自分とは真逆の考え方とのやりとりもあるでしょう。初見の問題や課題では様々な視点から物事を見る力があれば一気に打開できる場合が多いものです。そういった力が身につきます。
4. 記憶の定着度が圧倒的に高くなる
以下のようなピラミッドはとても有名ですが, 受身型授業と参加型授業での情報の保持率(=記憶力)が格段に異なることがわかります。一方向の講義型だと5~10%, ディスカッションを盛り込むと50~75%, 他者に教えると90%以上です。
教え手側の視点からだと・・・
5. 集中力を持続させることができる
授業を聞いていなければ, その後のアクティビティに参加しようがないので自ずと聞かざるを得ない環境ができあがります。集中せざるを得ない環境を作ることができるんです。
6. 埋もれている生徒を表舞台へ
一方向型だと輝くことのできなかった生徒(おとなしい / 理解度が非常に低い)も協力しながら行うことで集団の中で大きな役割を果たすことできます。
現在, 世の中は国際化とIT技術で超多様化し, 変化が激しい時代です。だからこそ, 今社会の中では様々な価値観を受け入れながら広い視点で物事を見れる人材, そして, 周りの人と協力しながら, 主体的に困難の課題に対する問題解決能力を持ち合わせていることが求められています。
英語教育を通して, そういった社会の中で颯爽と活躍し成功できる人材を育んでいくのが私の目標です。